研究課題/領域番号 |
06041064
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加納 隆至 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (40045050)
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研究分担者 |
安里 龍 琉球大学, 医学部, 講師 (60045052)
山際 寿一 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (60166600)
黒田 末寿 京都大学, 理学部, 助教授 (80153419)
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キーワード | チンパンジー / ゴリラ / 生息地利用 / 種内変異 / サバンナウッドランド / 熱帯雨林 / カボン / タンザニア |
研究概要 |
本年度はタンザニアの乾燥サバンナウッドランドとガボンの湿潤熱帯雨林で調査を行った。これらは湿潤度と豊かさにおいてチンパンジーの生息環境の両極端である。3月14日現在で加納隆至、安里龍によるタンザニアでの調査が継続中であるが、これまでに本年度の調査目標はほぼ達成できた。 ガボンでは山極寿、黒田末寿がプティ・ロアンゴ森林保護区で17kmにわたって植生構造を調査した。樹種標本を100余点採集しコンゴ植物利用研究所に同定依頼した。直接観察、糞分析でチンパンジーとゴリラの食性と環境利用、種間関係の資料を得た。その結果、この地域は他地域の類人猿には不可欠と考えられている草本食物種がない特異な環境であり、2種の類人猿はともに海岸林の利用とゾウ散布型の長期結実種および木の葉利用に依存した、特異な生態をもつとわかった。このことから両種の生態の理解には特にゾウを考慮する必要がある。両種の食物の重なりは80-95%と大きい。大雨季初期の海岸林での両種を合わせた密度は4.2頭/km2、大雨季終期の調査では、内陸林でチンパンジー:0.57頭/km2、ゴリラ:0.32頭/km2と推定された。 タンザニアでは伊谷原一と小川秀司が、乾季のウガラ川右岸の植生構造とチンパンジーの生息密度を約170kmにわたって広域調査した。同定困難な30種の標本を採集し、ダルエスサラーム大学植物学教室に同定依頼した。疎開林と川辺林のそれぞれの植生構造からチンパンジーの食料資源量推定の資料を得た。乾季のベッドと利用痕跡は川辺林だけにみられ、糞分析によって7種の果実食物がわかったが、結実した木は発見できず極端な食物の乏しさが判明した。ムトンゲシ川上流ではベッド数から20頭以上の単位集団の存在が確認できたが、生息密度は0.15頭/km2以下と推定された。一方、サバンナヒヒの群れが幾つもみられ、ヒヒとの関係も解明すべき点とわかった。
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