研究課題
韓国と米国で農業研究機関、大学、農協、農務省(農林水産部)、農業試験場、稲作農家等で聞き取り調査と資料収集を実施するとともに、台湾と日本でもコメ需給及びコメ政策に関する資料収集を行った。また、韓国、台湾から各1名研究分担者を招へいし研究会を開催した。韓国、台湾、日本のコメ需給について、いくつかのシナリオに基づくシュミレーションを行い、中長期的なコメ需給バランスを予測した。その結果、韓国では短期的にはコメ不足に直面するが、中期的にはコメの供給過剰が予想された。日本は中期的にも構造的なコメ過剰が続き、需給バランスを維持するために減反政策を継続することが必要と思われる。台湾は今後急速に稲作面積が減少するため、コメ輸入が増加することが予想される。一方、米国では、1994年の日本のコメの緊急輸入を契機に、日本への継続的なコメ輸出の期待感が急速に高まり、高品質中粒種の栽培面積が拡大するとともに、あきたこまち、コシヒカリ等日本で育成された品種の栽培も始まっている。また、高品質ジャポニカ米の品種改良もカリフォルニア州ビッグス稲作試験場で推進されている。韓国、台湾、日本では、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意を受け、コメ生産費を削減するための構造政策の推進、技術開発が推進されているが、政策目標の達成は楽観を許さない。また、韓国、日本では米価政策、農地政策の改正も推進されている。特に、作業受委託、土地賃貸借により大規模農家の育成に向けた政策努力が強力に推進されている。両国では消費者の良食味米志向を反映して、良質米品種への栽培集中が進行している。今年度はさらに、韓国、台湾、米国、日本のコメ産業関係のデータを収集し、稲作の成長会計分析の準備をするとともに、データベース作成を開始した。