研究分担者 |
チャチャワン アピチャル チェンマイ大学, 医学部, 助手
ヴィラサクディ チョング ソンクラ大学, 医学部, 助教授
ラダ モスワン ソンクラ大学, 医学部, 助教授
ヴィチャーン パンニッチ ソンクラ大学, 医学部, 教授
ニサラット オパルトキア マヒドン大学, 医学部, 助教授
アーノンド ブンヤラフォ マヒドン大学, 医学部, 教授
スタット フチャロエン マヒドン大学, 医学部, 教授
巽 典之 大阪市立大学, 医学部, 教授 (90101287)
片岡 陳正 神戸大学, 医学部, 助教授 (80071398)
平田 まり 神戸大学, 医学部, 助手 (90173244)
宇賀 昭二 神戸大学, 医学部, 助教授 (90071399)
堀田 博 神戸大学, 医学部, 教授 (40116249)
船原 芳範 神戸大学, 医学部, 助教授 (90030840)
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研究概要 |
調査開始後約6ヶ月になるが、その間に得られた注目すべき結果が血液疾患の調査より得られている。この調査は開発途上国など経済事情の良くない地域でポピュラーな貧血に注目しその原因の解明と生活環境の関係を明らかにする目的で開始した。パタルング病院およびクアンカヌング病院で妊娠外来の妊婦を調査対象とした結果では、スクリーニングテスト(検査対象数200例)で赤血球の酸素運搬体であるヘモグロビンの異常が疑われる症例を94例検出した。このうち29例は鉄欠乏性貧血の可能性を無視出来ないが、それにしてもこの頻度は異常であり、検査症例の増加によりヘモグロビン異常の患者数の増加が予想される。これらの結果は同地域ではヘモグロビン異常症による貧血が住民の健康障害の重要な原因になっていることを示唆している。寄生虫などの感染に拠る貧血も無視出来ないため、生活環境との関係の一端を知る目的でパタルング地域(ハドカイタオ村)の土壌媒介性線虫の汚染状況調査を実施した。同村39ヶ所の住宅の周辺から土壌を採取し、遠心沈殿法で処理して虫卵を検出した。その結果、線虫卵7種、条虫卵1種及び原虫1種の8種9属を検出した。その汚染率は3〜44%と土壌採取の場所によりバラツキがあるがかなりの高率であった。この結果は雨期の土壌から得られたものであるため、乾期に同様の調査を実施し、年間を通じての寄生虫卵に拠る環境汚染の実態を把握すると共に、同地域での寄生虫感染患者の動態と貧血症の関係を明らかにすべく計画している。 肝炎に関する調査では、健常供血者の1.3%が抗C型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性である。感染ウイルスの特徴を把握すべく入手した陽性血清から、PCR法にてHCV遺伝子RNAの断片を増幅し、塩基配列を決定した。その結果、同地域でのHCVの約60%がHCV-3aに属し、その他にHCV-1a,-1b,-3b,及びサブタイプ不明のものを認めた。詳細な解析をすべくより多数の血清を収集中である。
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