研究課題/領域番号 |
06041078
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
馬渡 淳一郎 姫路獨協大学, 法学部, 教授 (40034863)
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研究分担者 |
有田 謙司 山口大学, 経済学部, 助教授 (50232062)
山田 晋 明治学院大学, 社会学部, 助教授 (20200719)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | ILO96号条約 / 職業紹介の国家独占政策 / 労働市場の共同管理 / 公共職業安定機関 / 有料職業紹介所 / 労働者派遣業 |
研究概要 |
ILOは、これまで職業紹介の国家独占政策をとってきたが、現在、1949年有料職業紹介所(改正)条約(96号)の見直し作業を進め、労働市場の共同管理をモデルとして、先の国家独占政策を廃棄する動きを見せている。1997年には新条約が誕生する可能性がある。 こうしたILOの条約の見直しの背景には、労働者派遣業を条約所定の有料職業紹介所とするILO当局の解釈に多くの国が納得せず、条約廃棄国が続出する一方、労働市場には職業紹介関連の多数の業態が発展し、条約が時代遅れになったという事情がある。 そうした条約廃棄国のひとつであるスウェーデンは、北欧独自のコ-ポラィズムの政治体制を反映して、社会制度の実質的規制は労使交渉にねるという考え方に立ちつつ、法制上は、それまでの最も厳格な国家独時政策から完全に自由な法制に転換している。オランダも、1990年の立法によって、有料職業紹介を公認している。もともとヨーロッパ大陸諸国には、職業紹介の国家独占政策を強く支持する傾向がみられたが、それら諸国が条約を廃棄し、あるいは廃棄こそしないが事実上有料職業紹介を公認することになっている。ドイツも有料職業紹介を公認した。また、1991年4月23日のEC裁判所の判決も、職業紹介の国家独占政策に一定の限界を認め、人材スカウト業に活動の権利を承認している。 これに対して、イギリスをはじめとして、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどのアングロ・サクソン系の諸国は、ILOの96号条約を批准したことがなく、職業紹介の国家独占政策をとらず、有料職業紹介所についてはかなり自由な活動を認めてきた。それゆえ、近年の動向は、ヨーロッパ大陸型からアングロ・サクソン型への転換ということもできる。 だが、そのアングロ・サクソン型の中にも、いくつかのタイプがみられるようになっている。 第1は、ライセンス制度を設けるものである。アメリカ、カナダ、およびオーストラリアの州の多くは、有料職業紹介所に対するライセンス制度を設けている。イギリスは、1994年の法改正以前は、ライセンス制度を設けていた。 第2は、有料職業紹介所に関する特別の法規制を行わず、そのサービスに関して消費者保護法の規定で対応しようとするものである。オーストラリアのヴィクトリア州およびニュージーランドがそうした仕組みをとっている。 第3は、ライセンス制度はないが、弊害を予防するために、、民営職業紹介業者に対する行為基準を法令で定め、特別の監督機関を設けてその遵守を図る仕組みを設けているものである。1994年の法改正後のイギリスがそうした仕組みをとっている。 現在、規制緩和の流れのなかで、オーストラリアの州の中には、ライセンス制度の廃止を検討中のものが2州ある。こうした動向を見ると、全体としては、ライセンス制度の廃止という規制緩和の方向に向かいつつあり、先の第2または第3のタイプに移行してゆくことが考えられる。 こうした職業紹介の国家独占政策の放棄、公共職業安定機関と民営職業紹介所との競争・共存を図る、労働市場の共同管理の政策が進められるなかで、各国は、その前提条件として、公共職業安定機関の機能の効率化を図るための制度改革を進めている。 以上の本調査結果から、次のようにまとめることができる。 世界の越勢は、民間の雇用サービス業の発展を是認し、それに一定の最小限の規制を加えつつも、職業紹介の国家独占政策を放棄し、官民の職業紹介の共存と競争、そのための公共職業安定機関の機能の効率化へと向かいつつあるように見受けられる。
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