研究課題
研究計画初年度においては現地調査に力点を置き、各メンバーの研究対象国である関係諸機関・研究機関で聞き取り調査・意見交換・資料収集を行い、整理分析に当たった。小田・青木は、南アフリカ共和国など南部アフリカ諸国において構造調整政策の社会的影響を実態調査すべく、各界の重要と思われる人物にインタビューし、政策の進歩、あるいは問題点の調査を行い、調査研究に必要な資料を収集した。各国でインタビューした人達は約40名を数えた。木村・立山・宮田は、チュニジア,モロッコという北アフリカ諸国の状況を調査した。政府、政党、大学関係者からの聞き取り調査を含め、チュニジア、モロッコの構造調整政策の進歩状況の比較、及びイスラーム原理主義運動が民主化のプロセスに与える影響の差異などを研究した。チュニジア、モロッコでは構造調整に関する経済指標は概ね良好と報告されているが、一方で経済的不平等に関する不満の声も多く聞かれ、原理主義成長の要因は根強くあるという印象を受けた。千代浦はカメルーンにおけるIMF、世界銀行等による構造調整融資の影響に関する調査を行ったが、現地調査は政治的・社会的混乱と治安の悪化によりかなり制約を受けたが、カメルーン経済を現実に動かしている財界人、行政官、官庁エコノミスト、経済学者、国際機関職員あるいは長期滞在中の日本人ビジネスマン等おの接触により貴重な資料・情報を入手することができた。望月はナイジェリアで大学、研究機関等において聞き取り調査を実施するとともに、構造調整及び民主化に関わる資料の収集を行った。憲法体制を含む原理・原則に関する議論が目立つとの印象を受けている。富田は英国のダ-ラム大学、ロンドン大学で中東経済関係に関する文献の収集を行い、またエジプトではカイロ、アレキサンドリアで実務家、学者、ジャーナリストとインタビューを行った。