研究分担者 |
于 志勇 新疆文物考古研究所研究員, 研究員
李 宵 新疆文物考古研究所研究員, 研究員
夏 訓誠 中国, 蘭川砂漠研究所長, 所長
王 炳華 中国, 新疆文物考古研究所長, 所長
小澤 正人 早稲田大学埋蔵文化財調査室, 助手 (00257205)
昆 彰生 早稲田大学埋蔵文化財調査室, 主任
荒川 正晴 早稲田大学, 文学部, 講師
大橋 一章 早稲田大学, 文学部, 教授 (80120905)
櫻井 清彦 昭和女子大学, 文学部, 教授 (60063195)
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研究概要 |
この研究は,今年度から3ヵ年計画で実施されるので,まず平成6年には全隊員Iより,トルファン地区のGeneral Surveyが行Uわれた。即ち高昌故城,交河故城,アスターナ,ベゼクリクチ仏洞,トユクチ仏洞,蘇公路など,トルファンの主要史跡を踏査し,各遺跡の史的意義,トルファン文書との関連等を調べた。その結果,今後3年間の調査は,それぞれの分担研究者によって,或いは美術史,或いは古文書学から等,様々な角度からアプローチされるが,とくに共通のフィールドとしては,交河故城の西方にひろがる交河古墓群の発掘に,全力を傾注することになった。周知の通り交河故城は,今から2000年前,この地方を広く支配していた車師前国の都城で,最近3年間,ユネスコと日本の奈文研により,全般的な調査が実施された。ここはタリム盆地東部でもっとも早く開けた所で,われわれが着手したのはこの故城の西方に広がる台地上の古墓群で,その数はおよそ1,000基ともいわれる大墓地群である。ここはかつて黄文粥によって調査されたが,その地図は不正確である。 そこで今年度はまず交河古墓群(東西約1km,南北約3km)全域を正確に測量し,各墓域をプロットする作業にかかり,現在測量・製図は進行中である。また遺跡の略中央部で,2,3の高昌国時代の墓を試掘した。その際,田中地質コンサルタントKKの協力をえて,遺跡の電磁波測定,気球による航空測量などを行なった。こうした物理探査は,中国とくに新疆では最初の試みで,多くの考古学関係者の関心を集めた。今回試掘した第2号墓からは墓碑が出土し,この墓は某氏の妻氾氏の墓で,589年没であることが明らかとなった。これらは6-8世紀,交河城にいた高昌貴族の墓なので,今後発掘地域を拡大することにより,アスターナと同じようなミイラ,古文書,副葬品の出土が期待される。
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