研究分担者 |
劉 文すお 中国新疆文物考古研究所, 研究員
趙 静 中国新疆文物考古研究所, 研究員
王 宗磊 中国新疆文物考古研究所, 研究員
張 樹春 中国新疆文物考古研究所, 研究員
李 肖 中国新疆文物考古研究所, 研究員
王 炳華 中国新疆文物考古研究所, 所長, 所長
杉本 良 北上市埋蔵文化財調査室, 研究員
昆 彭夫 早稲田大学, 埋蔵文化財調査室, 研究員
荒川 正晴 大阪大学, 文学部, 助教授 (10283699)
櫻井 清彦 昭和女子大学, 文学部, 教授 (60063195)
大橋 一章 早稲田大学, 文学部, 教授 (80120905)
岡内 三真 早稲田大学, 文学部, 教授 (90093210)
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研究概要 |
われわれは過去3年間,トルファン地区の総合調査を行ない,各研究分担者の専門により、美術史学、古文書学、東洋史学の分野から研究を続けたが,とくに共通のフィールドとしては、交河城西方の溝西墓の発掘に全力を傾注してきた。いうまでもなく交河故城は今から2000年前から車師前国の都城として栄え、5世紀以降は高昌国及び唐の西州として繁栄し、溝西墓には車師人と漢人豪族の古墓群があり、その総数は約2000基に達する。 われわれはこの古墓群に対し、基礎的調査と発掘調査を実施した。まず基礎的調査は、(1)遺跡全域の精密な1/500地図の作成と(2)全墓群の型態・寸法・現状等の 憲皆調査で、(3)本年度までの3年間で憲皆調査は完了し、現在遺跡台帳、遺構、遺物台帳を整理し、データベース化するため、大学電算室の協力を得て、コンピューターに入力している。将来は早稲田大学にわれわれのホームページを開設し、インターネットによって全世界にむけて情報を発信していく予定である。 今年度は遺跡中もっとも高く湿気の影響が少ない丘陵頂上部と遺跡の南部、北部、中央部の4地点で8基の墓を発掘したが、いずれも期待した有残質遺物は出土しなかった。そこで発掘主任の岡内教授は発想の転換をはかり、前漢代の車師前国期の墓を探し、台地の東北端で墳丘のない墓群を発見し表土から五銖銭を見出した。炯眼な岡内氏はこここそ漢代の墓群と確信し、9月7日からこの付近の保存良好な墓3基を選んで発掘した。その結果、第1番に選んだ墓から黄金のブロ-チ、黄金の王冠又は首輪、指輪、南海産の貝符、星雲文鏡が出土し、近くの17号墳からは黄金の髪飾り、トルコ石の首飾り、黄金製のバックル、脚飾りなどが出土し、車師人の王侯貴族の黄金装身具をワンセットで発掘した。このように3年間の地地味な調査の結果、中国側の王炳華所長が「今年度最高の発掘!」と喜ぶほどの輝やかしい成果を挙げることができた。
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