研究課題/領域番号 |
06041117
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
馬場 悠男 国立科学博物館, 人類研究部, 部長 (90049221)
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研究分担者 |
FACHROEL Az バンドン地質研究開発センター, 研究官
TEUKU Iacob ガジャマダ大学, 医学部, 教授
海部 陽介 国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (20280521)
楢崎 修一郎 群馬県立歴史博物館, 学芸課, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | インドネシア / ホモエレクトス / 更新世 / 人類進化 / サンギラン |
研究概要 |
本研究の成果は、バンドン地質研究開発センターにおける室内作業によるものとサンギラン地域を中心とする野外調査によるものに大別される。 室内作業 平成6年度には、バンドン地質研究開発センターにおいて、ピテカントロプス8号頭蓋を各部分に分けて精密復元模型を作成した。さらに、実物標本と比較しながら、模型による復元を行った。また、ピテカントロプス7・8号の実物頭蓋および8号の復元模型、サンギラン出土の他の原人化石について種々の計測データをとった。また、フッ素分析用の測定機器を整備し、後に述べる野外調査にて得られた動物骨資料について予備的な実験を行った。 平成7年度は、バンドン地質研究開発センターにおいて、前年度に行った模型による復元結果に基づき、ピテカントロプス8号頭蓋の実物の復元を行った。これにより、本標本に基づく詳細な形態学的分析が可能となった。さらに、ピテカントロプス7・8号頭蓋、新発見の前頭骨、その他の原人化石のレントゲンおよび通常の写真撮影を行うとともに、これらの化石の形態学的な観測を行った。このようにして集めたデータは日本で分析し、論文にまとめて専門紙に投稿した。なお、時間的な制約から、ガジャマダ大学所蔵の標本との比較分析を行うことができなかったが、研究目的全体に対する影響は軽微である。 野外調査 平成6年度には、ジャワ島中東部の主な人類化石産出遺跡(サンギラン、トリニール、サンブングマチャン、ガンドン、モジョケルト、ワジャク、ブヌン、バチタン、パティアヤム、ミリ、ケドゥンブルブス、ンガゥィ)の現状を視察してまわった。その際、動物化石の採取を行った他、サンギランにおいて人類の前頭骨と大腿骨化石を入手することができた。これらの資料は、バンドン地質研究開発センターに持ち返り、精密模型を作成した。予察段階の判断としては、大腿骨片は比較的新しい時代のものと思われるが、前頭骨片は疑いなく原人のものである。これらの化石の形態学的側面については、現在詳しい分析を行っているところである。また、前頭骨片については、現地において年代測定用の資料を採取し、既にその測定結果が出ている。前述の動物骨の分析結果と合わせて、後日発表する予定である。 平成7年度はジャワ島中心部に位置するサンギラン地域にて集中的な調査を行った。この地域は下部〜上部更新世の地層が連続して露出しており、古くから良質の動物および人類化石を産出する地域として有名である。まず、前年度に入手した標本の出土地点を確認し、さらに発見地点周囲の地形や露頭の分布および地層を調べることによって、化石の出土層位を検討した。また、この他に今まで出土層位の明確でなかった他の3つの人類化石についても、同様の調査を行い、出土層位を明らかにした。これらの成果については、今後インドネシア側の研究者と相談の上で、順次公表していく予定である。さらに、上記の調査の過程で、化石採取に有望と思われる場所を見つけたので、次にその地点で試験的な発掘を行った。この発掘からは、確実な人類化石を発見することはできなかったが、多くの動物化石を採取することができた。これらの資料は、出土層序が明らかな点で価値が高く、今後アジズ上級研究官によって分類学的な研究が行なわれる予定である。また、これらの化石における、微量元素の測定による相対年代推定の研究が現在お茶の水大学の松浦助教授の手によって進行している。
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