研究課題/領域番号 |
06042007
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
冨士 薫 京都大学, 化学研究所, 教授 (20027056)
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研究分担者 |
横井 利夫 神戸学院大学, 薬学部, 助教授 (50122255)
新宮 徹朗 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (20068216)
李 波 中国科学院, 昆明植物研究所, 研究員
孫 漢董 中国科学院, 昆明植物研究所, 所長
田中 圭 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50093266)
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キーワード | 中国産イチイ科植物 / 抗腫瘍活性 / Taxus chinensis / タキソ-ル / ジテルペン / 構造解明 / 核磁気共鳴法 / 立体配座 |
研究概要 |
イチイ科植物から単離タキソ-ルは乳癌、卵巣癌等に対して強い抗腫瘍活性を持つことと作用機序の特異性の面から今日最も注目されている天然由来の抗癌剤の一つである。本研究ではタキソ-ル並びに類似抗癌活性物質の確保と開発を目的とし、中国産イチイ科植物を調査研究の対象とし、新骨格を持つリ-ド化合物の発見と活性物質への化学変換が可能なタキソイドの検索を行ない以下の知見を得た。中国雲南省に広く分布し生育するイチイ科植物Taxus chinensis並びにTaxus chinensis ver.maireiの枝葉及び木部を採集しそれらのエキスからそれぞれタキソ-ルを含む13及び7種の既知ジテルペンと共に、14種、及び2種の新ジテルペン化合物を単離した。単離精製した新ジテルペンにつき各種スペクトル手法により精密構造解明した。これには非破壊的手法の2次元核磁気共鳴法が効果的で、遠隔^<13>C-^1HCOSY法により置換基の結合位置を解明した。また一部の化合物についてはX-線解析により最終的に構造解明を行なった。その結果、以前初めて天然から単離し報告したtaxchinin A以外に11種の5/7/6系新骨格と4種の従来型タキサン骨格の新規化合物の立体構造をも含めた構造決定に成功した。興味あることにタキソ-ルなど従来の化合物と対照的に5/7/6型の新化合物の大部分は溶液中で2種の立体配座の混合物として存在することが認められ、それらの詳細な解析を行なった。新化合物の一部についてtubulinに対する活性を予備的に調べたところ残念ながら現在のところタキソ-ルに匹敵する活性は認められていない。タキソ-ルなど活性物質への化学変換に必要な5/7/6型を含む化合物の単離と化学変換については現在進行中である。
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