研究分担者 |
WILLIAM Blat NIH(米国国立衛生研究所), 主任研究員
巴 徳年 協和医科大学, 教授
THOMAS Schul ロンドン大学, 癌研究所, 講師
BERNARD Poie ニューヨーク州立大シラキュース校, 医学部, 教授
MARIA Pombo リオ, デジャネイロ国立癌研究所移植センター, 講師
松岡 雅雄 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (10244138)
山口 一成 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20128325)
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研究概要 |
HTLV-Iの感染はATLのみならず、HAMやぶどう膜炎などのHTLV-I関連疾患を引き起こす。我々はブラジル・中国におけるATL、HTLV-I関連疾患の実態を調査している。1994年度の結果は、1)ブラジル・リオデジャネイロ地区の血液ドナーのHTLV-I抗体陽性率は、0.78%,サンパウロ地区では0.47%である。2)中国の天津血液研究所との共同研究で、天津地区の献血者、血液・神経疾患524例のHTLV-I抗体を調査したが,いずれも陰性であった。 すでに共同研究者Oliveiraによりリオデジャネイロでは53例のATLが報告されており、その発症年齢は41歳と日本人ATLより若年発症である。臨床像では日本のATLと大差は認められなかった。同地区ではHAM/TSP患者も集積しつつある。サンパウロでも同様に多くのATL、HAM/TSPが報告されている。今回の血液ドナーにおける陽性率0.47〜0.8%はこれらの地域がATL,HAM/TSPの多発地域のひとつであることを支持するものである。今後ブラジル全体に調査を拡げていく予定である。さらにブラジルはエイズウイルス、HTLV-IIも多発地域であり、HTLV-IとHTLV-II、HTLV-IとHIVとの混合感染者を把握し、その臨床像を解明することも計画している。日本とブラジルとのATL、HAM/TSPの発症頻度の違いや、発症年齢の違いなども課題である。また、台湾からのATL、HTLV-Iの報告は多いが、中国本土についてはきわめて少ない。我々は今後、更に広範囲に血液、神経疾患、感染症などの患者サンプルを集めていく予定である。
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