研究分担者 |
LAMPRECHT Ge 南アフリカオレンジ自由州立大学, 物理学科, 教授
MCFARLANE Wi 英国ニューカッスル大学, 化学科, 教授
SYKES A.Geof 英国ニューカッスル大学, 化学科, 教授
市村 彰男 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (50047396)
永澤 明 埼玉大学, 理学部, 助教授 (40108452)
馬越 啓介 北海道大学, 理学部, 助手 (20213481)
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研究概要 |
Sykes教授の招へい(8月)により研究計画全般の効率的な進め方について議論を行った結果,本年度の具体的な研究計画として,当面レニウム錯体とルテニウム錯体に対象を絞り,詳しい研究を進めることとした.(1)レニウム錯体に関する成果,速度論の研究を目標とした新錯体を数種合成した.共同研究者馬越を9月にSykes教授の研究室に派遣し,これらの試料の還元反応について予備的な速度論的研究を行った.これらの試料は予想に反し複雑な速度論的挙動を示し,より適切な研究対象の開発が必要であるとの結論に達した.(2)ルテニウム錯体に関する成果.共同研究者の永澤と杉本をSykes教授の研究室に派遣し(12-1月),詳しい速度論の研究を実施した.対象とした試料は,代表研究者がすでに合成していた,オキソ架橋複核錯体で,その還元反応をプロトンの役割に焦点を当てつつ研究した.これに先だって,これらの錯体の電気化学的挙動を,国内共同研究者間の協力により明かにした.アセトニトリル溶液中での酸化還元では錯体は(II)から(IV)までの酸化状態を取り得ることがわかったが,還元側の電位は酸の添加により著しく正側にシフトし,酸化還元に伴い,オキソ架橋にプロトンの脱着がカップルして起こることがわかった.さらに水溶液中での電気化学的挙動もpHを変化させて調べた.速度論の研究は水溶液中で行った.クロム(II)による還元では3段階の過程が観測されたが,最初の段階をプロトン付加による構造変化,2,3段階目をRu中心の段階的還元によるものと帰属出来,各々の段階の速度常数を求めた.これらの情報から問題点を明かにし,次の段階の研究目標を設定した.
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