研究課題/領域番号 |
06044009
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
葛巻 暹 北海道大学, 医学部, 教授 (80091445)
|
研究分担者 |
MCLAUGHLIN P ケンブリッジ医学研究協会, 研究員
JANMEY Paul ハーバード医科大学, 医学部, 準教授
STOSSEL Thom ハーバード医科大学, 医学部, 教授
藤田 寿一 北海道大学, 医学部, 助手 (30212187)
|
キーワード | ゲルゾリン / ラス癌遺伝子 / フォスホリパーゼ / PIP_2 / NIH / 3T3 / アクチン / DNA合成 / 胃癌 |
研究概要 |
1.ヒト-H-ras癌遺伝子によって癌化した細胞(EJ-NIH/3T3)に変異原EMSを与えて得られたマウスのフラット・リバータントR1細胞のcDNAライブラリーから、クローニングによって変異ゲルゾリンcDNA-His321を得た。このHis321を大腸菌で発現させ、蛋白質を得た。 2.His321変異ゲルゾリン蛋白質は、正常変異ゲルゾリン蛋白質に比較してPIP_2に対する親和性が高く、牛脳由来のフォスホリパーゼCγ1(PLCγ1)によるPIP_2水解作用をより強く抑制した。EJ-NIH/3T3に、His321cDNAをトランスフェクションすると腫瘍原性が失われるが、この機構のひとつとしてHis321蛋白質のPLCγ1に対する抑制作用が示唆された。 3.His321蛋白質は、正常ゲルゾリンに比較してアクチンフィラメントに対する切断活性が低下し、逆にアクチンモノマーの重合核形成促進作用が上昇していることがわかった。これらのin vitroの現象がin vivoでもおこれば、腫瘍原性にも影響を与えると考えられた。また、2の結果と合わせて、変異部位のセグメント3には、ゲルゾリンのアクチンやPIP_2との結合活性に重要な影響を与える部位が存在すると考えられた。 4.His321の増殖抑制作用は、マウス線維芽細胞に対してもみられ、His321cDNAをトランスフェクションしたNIH/3T3細胞では、neo-cDNAをトランスフェクシヨンしたものに比べPDGFやEGF刺激後のDNA合成の増加が抑制された。 5.ヒトの胃癌細胞では、その組織型によらずゲルゾリンの発現が正常胃粘膜上皮にくらべて激減していることがわかった。
|