研究分担者 |
PATTI A.F. Monash大学, Gippsland校, 上級講師
PERRY G.J. Herman研究所, Gippsland石炭製品研究部, 部長
MAINWARING D 王立Melbourne工業大学, 教授
JACKSON W.R. Monash大学, 化学科, 教授
ALLARDICE D. Herman研究所, 石炭製品部, 部長
奥脇 昭嗣 東北大学, 工学部, 教授 (70005320)
飯野 雅 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (10006306)
持田 勲 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (20037758)
真田 雄三 北海道大学, エネルギー先端工学研究センター, 教授 (50109485)
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研究概要 |
ビクトリア褐炭は極めて反応性に富み,また,埋蔵量も膨大で,機能性材料の資源として注目されているが,構造が複雑で物理的・化学的特性の解明と利用開発が遅れている.本研究ではこの褐炭の特性を解明して,新しい材料を得る為の基礎となる知見を纏めることを第一の目的とし,1988年からの共同研究での知識の蓄積と人的な繋がりを武器とし,新しい見地から研究を展開している.本年度は5名の中堅研究者をオーストラリアに派遣し,また,2名の専門化を招聘して,構造,物性,反応の多面的な研究を進めた. 西山・尾崎は褐炭からの炭素-鉄複合電極の製造を目標とし,褐炭のイオン交換特性と鉄炭素複合体中での鉄の状態を吟味し,鉄がγ-Fe形の場合に高機能となる事を示唆した.また,ブリケットの破壊過程も吟味した. 真田・熊谷は高温NMRを用い,加熱時の石炭分子の運動性を調べ,炭種や添加物が運動性に与える影響を明らかにした.また,褐炭の脱水・乾燥による凝集状態の変化をコロイド化学的な手法を用いて研究した. 持田・光来は石炭液化触媒として高いオイル収率を与え,かつ,未反応残渣との分離が容易な触媒を調製することに成功した.また,炭素繊維の構造解析について日豪間のデータを比較し,有益な知見が得られた. 飯野・鷹觜は褐炭の溶媒抽出残渣のスラリーの粘弾性測定を行い、原炭と類似の石炭・溶媒間相互作用が見られることから,原炭中のフミン酸のゲル構造への関与が小さいことを明らかにした. 菅原はこれまで研究を進めてきた脱硫処理方式のオーストラリア炭への適用性を検討し,いくつかのオーストラリア炭で,このアルカリ処理と熱分解を組み合わせるプロセスが有用であることを確認した. 以上のように着実に石炭特性の把握が進んでおり,これらから褐炭利用の新しい展開を期待することができる.
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