研究課題
本年度は、単離した電位依存性Ca^<2+>チャネルの機能解析、ヒト遺伝子の構造決定とインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)における遺伝子変異の検索を行なった。まず膵β細胞における電位依存性Ca^<2+>チャネルのα1サブユニットとβサブユニット(β1〜β3)の全長を単離し、発現系で機能解析を行ったところα1サブユニット単独ではチャネル活性が認められずβサブユニットと同時に発現した時のみ典型的なL型Ca^<2+>チャネル活性が認められ、βサブユニットが機能発現に重要であることが示された。次にα1サブユニット(CACN4)とβ(β3)サブユニットの遺伝子構造を決定した。α1サブユニット遺伝子は全長が約155kpbにおよび49のエクソンから構成されていた。一方、β3サブユニットは約8kbにおよび13のexonから構成されていた。CACN4遺伝子変異を検索したところ、89例のNIDDM患者(178 alleles)中1例(1 allele)にexonlにおけるATGのinsertionよるmethionineのinsertionがN端に認められた。さらに別の1例ではexon42のGAAのdeletionによるGluのdeletionがC端領域に認められた。これらの変異は48例の正常者(96 alleles)には認められなかった。絶食状態では膵β細胞で発現する電位依存性Ca^<2+>チャネルα1サブユニット遺伝子の低下が認められた。中枢神経系でのみ発現するとされていたイオンチャネル型グルタミン酸受容体が膵β細胞で発現することを世界で初めて明らかにし、インスリン分泌に関与していることを示した。
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