研究課題/領域番号 |
06044053
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢崎 紘一 東京大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60012382)
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研究分担者 |
ティース ミハエル エルランゲン, ニュルンベルグ大学・理論物理部, 教授
レンツ フリーダー エルランゲン, ニュルンベルグ大学・理論物理部, 教授
太田 浩一 東京大学, 教養学部, 助教授 (30012496)
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キーワード | 量子色力学(QCD) / ゲージ固定 / ハミルトニアン形式 / U_A(1)異常 / 格子ゲージ理論 / クェンチ近似 |
研究概要 |
この共同研究の目的は、強い相互作用の基礎理論と考えられている量子色力学(QCD)を有限な区間でのハミルトニアン形式で定式化し、ゲージ固定によって余分な自由度を消去した後、理論がもつ素励起の構造、U_A(1)異常の起源真空の性質等を明らかにするとともに、有効な近似法を見出すことである。以前からの研究分担者(太田、レンツ、ティース)の共同研究により、軸性ゲージでのゲージ固定とハミルトニアンの導出は相当に進められており、今年度の共同研究でほぼ完成した。他のゲージでの可能性も検討中である。また、この定式化での理論がもつトポロジカルな構造についての研究も進められている。一方、場の理論に特有な発散の問題を処理する正則化の方法とU_A(1)異常との関係、これと真空の性質との関連についても検討を開始した。有効な近似法を見出す試みとひとつとしては、格子ゲージ理論との関係に注目している。空間の次元を1次元とした1+1次元のQCDでは、この問題は比較的簡単で、両者の関係はほぼ明らかになった。この分析での変数の選び方等を参考にして、現実の3+1次元のQCDでの研究を進めている。特に、数値シミュレーションで有効であることが示唆されているクェンチ近似(フェルミオン・ループの寄与を無視する近似)のハミルトニアン形式での意味つけを明確にするため、簡単な模型を用いた検討を開始した。 今年度は夏から秋にかけて研究代表者と研究協力者、平田、森松がエルランゲン大学を訪問し、レンツ、ティース両教授と今後の共同研究の進め方について相談すると同時に、ゲージ固定後の理論のトポロジカルな構造に関する共同研究を開始した。また、年度末にはレンツ教授を招へいし、U_A(1)異常の起源やクェンチ近似の意味について議論を深めた。
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