研究課題/領域番号 |
06044073
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
野田 政樹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50231725)
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研究分担者 |
川口 奈奈子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10200700)
DENHARDL Dav ラトガース大学, ネルソン生物学研究所, 所長
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | Osteopontin / Osteoblat / Bone Morphogenetic Protein / Bone Formation / Bone Protein / Osteoclast / gene expression / Differentiation |
研究概要 |
本年度においてはオステオポンチンの遺伝子を過剰発現するトランスジェニック動物を作製する目的でオステオポンチンの遺伝子を発現ベクターに組み込み、このDNAを用いてその発現能力の確認をin vitroの細胞において行うとともにそのDNAコンストラクトをマイクロインジェクション法を用いて、マウスの受精卵に導入した。即ち、まずマウスの膣スメア-をもって排卵日を同定し、これに合わせて雄とメイティングを行い、翌日プラークを形成しているマウスを選別した。このプラークをもつ雌の子宮部を開き、その先端の開口部からのフラッシングを行うことにより、受精卵を採取した。得られた受精卵は通常一回の操作で10回前後であった。この受精卵を液滴の中に取り込み、オイルの中に沈め培養器の中で保存し、マイクロインジェクションに供えた。マイクロインジェクションとしてはツァイスのアキシオバ-ト倒立型顕微鏡を用い、マニプレーターとしては左の細胞保持用にライツの機械的動作型のマニプレーターを用い、インジェクション側にはエッペンドルフの自動マイクロインジェクターを使用してガラス管をそれぞれ装着し、マイクロインジェクションを行った。ガラス管の作成はサッター社のプラーおよびナリシゲ社のプラー装着を使用した。CDカメラによるビデオモニターにより受精卵内へのマイクロインジェクションを確認し、それぞれのDNAの導入された受精卵を更に保存して導入用とした。別の一群のマウスのつがいにおいて、精管結紮を行ったオスのマウスとメイティングさせた偽妊娠メスマウスについて、そのプラーグ形成を指標として選別し、このマウスの背部側方より後腹膜脂肪組織の間よりアプローチして子宮に達することにより、その子宮に対しガラス管内に保持したDNAをマイクロインジェクションした受精卵を導入しトランスジェニックマウスを作製した。これらのマウスについてのオステオポンチン自身の発現、あるいはこの発現によって二次的に起こる動物内での変化やその影響について検索する予定である。一方、オステオポンチンのノックアウトの作製に関してはオステオポンチンのマウスの遺伝子クローニングを行い、そのエクソンを含む部分について組み替え型のジェノムを持つES細胞を選別し、このES細胞を更に受精卵に導入することにより、ノックアウトの入ったハプロイドを有するマウスを作製した。ハプロイドを有するマウスを更に掛け合わせ、2つの遺伝子座が共にリコンビナントでオステオポンチンのノックアウトとなったマウスが現在選別されている。これらのマウスを用い、オステオポンチン遺伝子産物の生理学的な意味を明らかにするとともに、このトランスジェニックマウスやノックアウトマウスにおける癌遺伝子の発現や、癌細胞の転移における影響、ならびにオステオポンチンが通常発現する腎や骨の細胞における生理的な調節機構に対する対応の変化について明らかにする予定である。これらの検討によりオステオポンチンの生理学的な意義がさらに明らかとなり、その細胞接着機構への関与、あるいはその生理的な未知の機能を含めたオステオポンチンの分子機能の全容を明らかにすることが期待でき、特に骨の吸収に関与すると思われる破骨細胞における役割や、骨芽細胞において発現するOPNの骨髄内細胞環境に与える影響に焦点を絞り検討を進める予定である。
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