研究概要 |
αβγ,3種類のサブユニットより成るヘテロ3量体Gタンパク質は,細胞外シグナルを認識する受容体から細胞内2次伝達物質を生成する酸素,イオンチャンネルなどのエフェクター分子に情報を伝えるトランスデューサーとして機能しているGTP総合タンパク質である。中枢神経細胞の活動において極めて重要なイオンチャンネルの活性が,Gタンパク質を介して神経伝達物質によりどのように調節をうけているかを,分子生物学と電気生理学の予法を組み合わせて明きらかにすることを本研究の目的としている。今年度,先に単離したラット脳の7種類のGタンパク質(Gs,Gi1,Gi2,Gi3,Go1,Go2,Gz)のαサブユニットcDNAに加え新たにマウスG11,ラットG12のαサブユニットのcDNAをPCR法を用いて単離し,さらにそれらの活性型変異体を作成した。神経伝達物資受容体の遺伝子とともに,これらのGタンパク質αサブユニットcDNAを培養細胞に発現させ,cAMPやIP3生成,MAPキナーゼの活性化など生化学的解析を進めている。また,ラット脳よりGタンパク質共役KチャンネルのcDNAのクローニングを行い,構造を解析中である(伊東,上代,水野)。一方,初代培養神経細胞を用いた電気生理学的解析から,Gタンパク質のβγサブユニットが,KチャンネルのOpeningに働くことが明きらかとなった(中島)。また,神経細胞のひとつのKチャンネルがソマトスタチン受容体から百日咳毒素感受性Gタンパク質を介して活性化され,逆にサブスタンスP受容体から百日咳毒素非感受性Gタンパク質を介して不活性化されることが判明した(中島)。特異的にそれぞれのGタンパク質を認識する抗体を細胞内に微量注入することにより,どのGタンパク質がそれぞれのシグナル伝達系に関与しているかを検討中である。
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