自然電位観測によるギリシャ式地震予知法の基礎と日本への適用

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06044085
• 研究機関: 金沢大学
• 研究代表者: 河野 芳輝 金沢大学, 理学部, 教授 (80019489)
• 研究分担者: パパニコラウ D. アテネ大学, 地質学部, 助教授 ; アレクソプーロス K. アテネ大学, 物理学部, 名誉教授 ; ドログロウ E. アテネ大学, 物理学部, 講師 ; ラザリドウ M. アテネ大学, 物理学部, 研究員 ; バロッチョス P. アテネ大学, 物理学部, 教授 ; 上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 助教授 (70242154) ; 歌田 久司 東京大学, 地震研究所, 助教授 (70134632) ; 酒井 英男 富山大学, 理学部, 助教授 (30134993) ; 木下 正高 東海大学, 海洋学部, 講師 (50225009) ; 上田 誠也 東海大学, 海洋学部, 教授 (60011459) ; 長尾 年恭 金沢大学, 理学部, 助手 (20183890) ; 石渡 明 金沢大学, 理学部, 助教授 (90184572) ; 古本 宗充 金沢大学, 理学部, 助教授 (80109264)
• キーワード: ギリシャ / 地電流 / 地震予知 / 電磁探査 / 重力異常 / 全磁力異常

研究概要

本研究の目的はギリシャで行われている地電流を用いた地震予知法で物理機構不明の“地震前兆電気信号に対して感度の良い"観測点周辺の特徴を地球物理学的に明らかにし、日本への適用を図る際のガイドラインを確立することにある。
今年度は2回に分けて現地調査を実施した。まず平成7年8月に第1陣がギリシャ北西部・イオアニナ地方で電磁探査(ELF及びULF-MT)を実施した。第1陣の帰国直前に装置を長時間収録モードに変更し、イオアニナVAN観測点で連続観測を開始した。このデータは第2陣により9月下旬に回収された。第2陣では重力、全磁力異常の調査を主に行った。まずペロポネリス半島西部・ピルゴス地域で重力測定を131地点で、全磁力測定を106地点で行いピルゴス周辺の重力・全磁力異常のおおよそのパターンを知ることができた。その結果今回の現地調査での最大の目的であった“地震前兆電気信号に対して感度の良い"観測点がどのような地球物理学的特徴を示すのかという点について言及できる可能性がでてきた。ピルゴス地方では“地震前兆電気信号に対して感度の良い"地点は1)重力異常が小さい(堆積物が比較的薄い)2)全磁力異常が大きいという共通の傾向が見られた。次にイオアニア地方でも同様の観測を実施し、重力測定145点、全磁力測定60点を加えることができた。また第2陣でも電磁探査を2地点で実施した。その後、アテネ東方地域及び西方地域でもそれぞれ重力・全磁力探査を実施した。また岩石磁気学的な研究を行うため適宜サンプリングも実施した。
初年度の調査はほぼ予定どおりの成果を上げることができた。また機械の輸送・通関についてオリンピック航空ならびに在日ギリシャ大使館には格別の便宜を図っていただいた。

研究成果

• [文献書誌] T.NAGANO,M.UYESHIMA,S.UYEDA: "An independent check of VAN data" Geophysical Research Letters. (印刷中). (1995)
• [文献書誌] 上田 誠也、長尾 年恭: "地震予知:観測と基礎研究.そして“地震流"法" 地震予知研究シンポジウム(1994). 7-15 (1994)