複数の衛星による磁気圏プラズマ波動の研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06044110
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 松本 紘 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (00026139)
• 研究分担者: GURNETT D.A. アメリカ合衆国, アイオワ大学, 教授 ; BOUGERET J.L フランス, パリ天文台, 教授 ; 小嶋 浩嗣 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (10215254) ; ANDERSON R.R アメリカ合衆国, アイオワ大学, 助教授 ; 八木谷 聡 金沢大学, 工学部, 助手 (30251937) ; 臼井 英之 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (10243081) ; 大村 善治 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (50177002) ; 岡田 敏美 富山県立大学, 工学部, 助教授 (90008566) ; 筒井 稔 京都産業大学, 計算機科学研究所, 助教授 (10026172) ; 橋本 弘蔵 東京電機大学, 工学部, 教授 (80026369) ; 長野 勇 金沢大学, 工学部, 教授 (50019775) ; 木村 磐根 京都大学, 工学部, 教授 (00025884)
• キーワード: GEOTAIL / ULYSSES / AKEBONO / WIND / POLAR / Freja

研究概要

GEOTAIL内部の共同研究では、特に、アイオワ大学のプラズマ粒子観測グループとの共同研究を推進することができ、磁気圏昼間側でGEOTAILが観測したコーラスエミッション、ECHエミッションが,粒子で観測された電子速度分布の異方性や冷たい電子の存在との相関が明らかになり、これら、コーラスエミッション、ECHエミッションの発生機構の解明に大きく近づいた。また、Freja衛星、AKEBONO衛星での共同観測では、AKEBONOとFreja衛星が極域で、同一磁力線上に位置する時間帯を予め、決めておき、それらを相互にもちより、その相関研究を行うことができたため、極域で発生している波動現象の伝搬効果と、及び、その発生原因となる粒子の分布の変化について、非常に有益な情報が得られた。WIND衛星打ち上げ以後は、実際にGoddard Space Flight Center、及び、パリ天文台を研究分担者が訪れ、WIND、ULYSSES、GEOTAILを用いた、初めての本格的な複数衛星による観測のスタートをきった。特に、WINDとGEOTAILは、地球をはさんで、反対側に位置しており、Type III Solar Radio Burstの同時観測に成功しており、更に同じBurstをULYSSESも観測していることがわかり、その発生メカニズムの解明のために大きな手がかりが得られている。また、更に、年度末には、各外国人研究者を京都大学へ招聘し、本年度のとりまとめとしてのワークショップを開き、GEOTAIL内部については、プラズマ波動とプラズマ粒子観測、計算機実験との共同研究をもとに、コーラスエミッション、ECHエミッション、広帯域静電ノイズ、狭帯域静電ノイズの各波動現象に関する論文を分担して執筆することが取り決められた。一方、WIND,GEOTAILとの共同観測についても、更に、詳細なデータの突き合わせが行われ、電子のプラズマ周波数の2倍で発生するといわれるエミッションがGEOTAIL、WINDで同時に観測されている現象が発見され、その共同データ解析に関しての詳細な打ち合わせも執り行われた。本年度は、WIND衛星の打ち上げの遅れがあったものの、Freja,ULYSSES衛星との共同研究をかわきりに、WINDとの共同観測の重要性も改めて認識されることとなり、大変有意義な成果をあげることができた。

研究成果

• [文献書誌] Matsumoto,H.,H.Kojima,T.Miyatake,Y.Omura,M.Okada,I.Nagano,M.Tsutsui: "Electrostatic Solitary Waves (ESW) in the Magnetotail:BEN Wave Forms Observed by GEOTAIL" Geophyisical Research Letters. 21. 2915-2918 (1994)
• [文献書誌] Nagano,I.,S.Yagitani,H.Kojima,Y.Kakehi,T.Shiozaki,H.Matsumoto,K.Hashimoto,T.Okada,S.Kokubun,T.Yamamoto: "Wave Form Analysis of the Continuum Radiation Observed by GEOTAIL" Geophyisical Research Letters. 21. 2911-2914 (1994)
• [文献書誌] Hashimoto,K.,H.Matsumoto,H.Kojima,T.Murata,I.Nagano,T.Okada,K.Tsuruda,T.Iyemori: "Auroral Myriametric Radiation Observed by GEOTAIL" Geophyisical Research Letters. 21. 2927-2930 (1994)
• [文献書誌] Kojima,H.,H.Matsumoto,T.Miyatake,I.Nagano,A.Fujita,L.A.Frank,T.Mukai,W.R.Paterson,R.R.Anderson: "Relation Between Electrostatic Solitary Waves and High Energy Plasma Flow in the Plasma Sheet Boundary Layer:GEOTAIL Observations" Geophyisical Research Letters. 21. 2919-2922 (1994)
• [文献書誌] Omura,Y.,H.Kojima,H.Matsumoto: "Computer simulation of Electrostatic Solitary Waves:A Nonlinear Model of Broadband Electrostatic Noise" Geophyisical Research Letters. 21. 2923-2926 (1994)
• [文献書誌] Okada,T.,K.Tsuruda,H.Hayakawa,M.Nakamura,T.Mukai,T.Yamamoto,A.Matsuoka,T.Terasawa,F.S.Mozer,S.Kokubun,H.Matsumoto: "GEOTAIL Observations of Electrostatic Waves in the Lower Hybrid Frequency Range in the Plasma Sheet Boundary Layer" Geophyisical Research Letters. 21. 2931-2934 (1994)