研究課題
次世代型原子炉の炉物理に関する共同研究課題として、(1)無限格子のボイド反応度係数、(2)共鳴自己遮蔽効果、(3)燃料集合体のピン出力分布、(4)軽水炉の減速材温度反応度係数、(5)臨界集合体を用いた超ウラン(TRU)元素に関する実験の検討を設定し、フランス原子力庁(CEA)のカダラッシュ研究所で日仏セミナーを開催して、双方の結果を持ち寄って討議した。セミナーには、日本の「大学連合」から7名、CEAから10名が参加し、次世代型軽水炉の政策に関する情報の交換も行った。(1)については、双方から新たな計算結果が発表され、前回問題となった無限増倍率の差は小さくなったものの、依然として存在することが判明し、今後、より詳細な断面積と反応率の相互比較を行うこととなった。この課題については、今年9月に日本で開催される炉物理国際会議に共同論文を提出することが合意された。(2)については、双方からサブグループ法を用いた計算法が紹介された。今後、サブグループ法における差異を明確にするための新たなベンチマーク計算を行うこと、共鳴の相互干渉効果については次回に取り上げることについて合意した。(3)については、双方から発表がなく、当面、共同研究課題から除外することになった。(4)については、前回、UOX燃料について双方の結果がよく一致した。今回はMOX燃料について双方から発表があり、燃料中のプルトニウム同位体組成から変わると双方の差異が拡大することが判明した。これについても、(1)と同様に反応率の詳細な相互比較を行うこととなった。(5)については、前回、TRU元素の生成と消滅を含む燃料の燃焼計算を行うことで合意されたが、双方の理解に相違があり、発表された計算結果に差が見られた。双方の解釈を統一し、NEAの国際ベンチマーク計算問題として提案することで合意に達した。また、新しい課題として格子計算における中性子漏洩効果を取り上げることが合意された。