研究課題/領域番号 |
06044125
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永田 和弘 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (50127114)
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研究分担者 |
WALSH D.A シドニー大学, 主任研究員
GREENSPAN D. ウィスコンシン大学, 准教授
KUHN K マックス, プランク研究所, 教授
中井 彰 京都大学, 胸部疾患研究所, 助手 (60252516)
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キーワード | ストレス蛋白質 / HSP47 / コラーゲン / 細胞内輸送 |
研究概要 |
HSP47の細胞生物学的機能に関する国際共同研究を行なった。 永田、平芳、中井らは、HSP47が細胞内で新規合成プロコラーゲンとどのように相互作用するかに関して、その作用機構とどこで解離するかを明らかにした。HSP47は、合成直後のプロコラーゲンと小胞体のなかで結合し、小胞体からゴルジ装置までの輸送小胞中でも結合しているが、シス-ゴルジ領域にまで輸送された直後に相互に解離することがあきらかになった。また、in vitroで表面プラズモン共鳴法を利用して、HSP47とコラーゲンとの解離常数、および結合速度常数、解離速度常数などを測定することができた。HSP47とコラーゲンとは10^<-7>M程度の解離常数を持ち、これは細胞内での蛋白質同志の相互作用を考える際には妥当な値であると考えられた。また、解離速度常数が10^<-2>s^<-1>ときわめて早い反応であり、シス-ゴルジに達してHSP47の濃度が減少すると同時に急速にプロコラーゲンから解離する機構として、このような濃度依存性の解離機構が働いていることが示唆された。 オーストラリアのD.Walshは、HSP47の胎児における形態形成における役割を考察し、9-14日齢の胎児脳に特異的なHSP47の発現を認めた。さらに、頭骨の融合過程にHSP47が関与していることを、アンチセンスRNAを作用させることで確認した。ドイツのK.Kuehnは、コラーゲンの3量体形成におけるHSP47の役割を明らかにするために研究を進めているが、まだ明確な結論を得るには至っていない。アメリカのD.Greenspanは、HSP47とコラーゲンとがその発現レベルにおいて共役していることに興味をもち、コラーゲン遺伝子を強制発現させた細胞において、HSP47が誘導されてくるという興味深い結果を得た。
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