研究課題
我々は、濾胞性樹状細胞株FDC-1が抗Ig抗体で処理されたWEHI-231のアポトーシスを阻害し、生存を誘導することを示した。その分子機構を解明するために、FDC-1に対する単クローン抗体を5つ樹立したが、いずれも、FDS-1によるB細胞の生存誘導に関与する分子を認識するものではなかった。一方、T細胞上のCD40L分子と反応することにより、B細胞上のCD40分子を介して伝達されるシグナルはB細胞の生存、増殖、分化を誘導する。我々がCH12.LH細胞より得たサブクローンF3は、CD40LとTGF-β、IL-4の存在下で約50%という高い頻度で免疫グロブリン(Ig)のクラススイッチをおこす。また、抗Ig抗体で処理されたWEHI-231細胞ではCD40を介するシグナルが細胞の生存と増殖を誘導する。WEHI-231細胞では、サイクリン依存性キナーゼインヒビターの1つp27^<Kip1>分子の発現がCD40シグナルにより著明に低下した。さらに、p27^<KipI>のアンチセンスオリゴ単独で、抗Ig抗体で処理されたWEHI-231細胞の生存と増殖を誘導できた。したがって、CD40シグナルによるB細胞の生存と増殖誘導の際に、p27^<Kip1>の発現低下が重要な役割を果すことが強く示唆される。さらに、CD40シグナルによるIgのクラススイッチに関与する分子を同定する目的で、CD40Lなどで処理したF3細胞由来のcDNAと無処理のF3細胞のmRNAの間でサブトラクション法を行い、CD40Lなどの刺激で誘導される遺伝子を2つ単離した。現在、この遺伝子がクラススイッチに本当に関与しているか解析中である。
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