研究課題
本年度の研究実績を、ナノ加工法に関するもの、電子波デバイスの試作に関するもの、数値計算に関するものに分けて以下に概要を記す。ナノ加工法に関する研究の分野では、本年度は低エネルギー集束イオンビームと分子線エピタキシ-を組み合わせた真空一貫その場加工装置を完成させ、この装置を用いて低エネルギー集束イオンビーム直接描画による金属膜の堆積などの基礎的な研究を行った。低エネルギー(1KeV)イオンビームの照射損傷に関する研究では、照射量が10^<13>cm^<-2>程度以下では高移動度2次元電子系の伝導にほとんど影響を与えないということがわかった。また、その場加工プロセスの加工特性に関する研究では、その場加工装置の中で試料を搬送するときの成長中断の影響を調べ、中断位置と2次元電子がガスの関係を明らかにした。この時、界面準位とバンド構造の関係が重要であることを指摘した。電子波デバイスの試作に関する研究では、まず、GaAs/AlGaAsシングルヘテロ結晶(大阪大学)に電子ビーム露光技術(ケンブリッジ大学)を用いて極微電極を作製し、電子波デバイスの試行を行い、伝導特性の評価も行っている。また、ケンブリッジ大学で非集束イオンビームと分子線エピタキシ-を組み合わせたその場加工装置を用いて、様々な埋め込み構造を試作した。コンピューターによる数値計算の分野では、一次元電子波導波方向性結合器の障壁層および導波路層の厚さ、導波路のド-ピングの条件などのデバイスパラメータおよびデバイス特性を計算し、作製条件や期待される電子波デバイスの機能を明らかにした。
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