研究課題
研究対象である旧台湾総督府関係文書等は、未整理のままで米国議会図書館日本課の書庫で平成4年に発見された。発見者の国立台湾師範大学の歴史学の助教授からは、これらの文書は台湾に返還されるべきものであるとの要求が出ている。そこでこれらの資料の調査・研究を早急に日本側で行い、その内容を把握しておく必要があると考え、とりあえずこれらの資料の中の教育関係文書のみでも整理・分析し、資料的・歴史的問題からこれまで研究が進んでいなかった日本の旧植民地時代の台湾を中心とした教育がどのように計画され実施されたかを明らかにし、また日本においてもこれらの資料を研究者が閲覧できるようにすることを目的とした。当初の計画に沿って米国を訪問し、議会図書館側の全面的な協力のもとこれらの資料を閲覧し、研究計画を立案するとともに、資料文書の整理とそのリストの作成に取り掛かった。一方これと平行して教育・社会・文化等に関する資料文書のマイクロフイルム化を行った。しかし資料の内容が多岐に渡っていると伴に、資料文書の量も予想していた以上に多く、研究協力者のショウジョウ・ホンダ氏や海野優氏にも助力を仰いだが、時間的制約もあるため平成6年度内に資料文書の整理とそのリストの作成及びマイクロフイルム化を終了することはできなかった。なお現在は、本年度に作成し持ち帰った資料文書のリストを、データー・ベースとして整理・保存するための作業を行っている。なお研究成果は、2つの方法で公表する予定をしている。一つは整理してデーター・ベースとして作成した全資料文書のリストと、資料文書の内容の分析を行った結果を最終年度に研究成果報告書として発刊する。他は、マイクロフイルム化を行った教育・社会・文化等に関する資料文書を、大学図書館に整理・保存することにより広く研究者などへ公開し、この分野等の研究の便に供する。
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