研究課題/領域番号 |
06044171
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
尾添 紘之 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (10033242)
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研究分担者 |
鎌倉 勝善 富山工業高等専門学校, 助教授
JAE Min Hyun 韓国科学技術院, 工学部, 教授
YASUHIRO Kam ケースウエスタンリザーブ大学, 工学部, 教授
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キーワード | 二重拡散 / 結晶成長 / 振動対流 / 濃度差対流 / 温度差対流 / ミクロ構造 |
研究概要 |
集積回路に多用されるシリコンに代表される単結晶棒は本来不純物が極く微量しか含まれてないが、固相化の過程で、結晶構造や不純物の不均一分布が生じ、集積回路の歩留まり低下の主因と言われている。この原因としては、融液内の流速や温度の変動が固化速度や、不純物濃度の変動をもたらすためといわれいてるが、その詳細な機構は不明である。本研究においては、融液中の微量不純物であっても、分配係数が1より小さい場合、相変化界面に不純物が蓄積され、温度差だけでなく、濃度差によっても浮力流れが発生するという、二重拡散自然対流とミクロ構造の問題に着目する。水と水溶液の上下二層から成る流体層を左側壁から加熱し、右側壁から冷却した時、左右の温度差が小さい時(Ra=10^4),ほゞ定常状態に達するが、温度差が10倍(Ra=10^5)となると、長短2つの周期をもつ二重振動流が発生し、さらに温度差が100倍(Ra=10^6)になると、高周波振動となることを理論的に予測した。この系の場合、Le=100であり、上層においては、加熱壁近くでは高濃度の水溶液が下層から拡散によって運ばれてくるが、これは中央部より高濃度で下方への浮力を持ち高温度であるため加熱面に沿って上昇する。一方、冷却面側でも高濃度で下方への浮力を持つ。さらに、冷却面上では低温なるが故の下方への浮力があり、両者相加性を持つ。従って本系の場合加熱面上の上昇力は弱く、冷却面上の下降力は強く、流体は一回の循環に際して、流速の加速、減速を経験することになり、これが振動流となることが理論的に予測された。またこのような循環流が数十回続くにつれ、加熱面上で高濃度液を最早上昇しきれなくなり、一挙に上層全体が攪拌され、平均濃度近くになる。これが長周期振動であることが予測された。 また、水とKCl水溶液からなる二液層について、実験を行い、二層対流系において、温度の振動現象が起こることを実測した。これにより、従来振動現象の報告がほとんどみられなかった二重拡散自然対流においても、振動流の存在が見いだされた。
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