研究分担者 |
VILLANI Marc ラクイラ大学, 工学部, 助教授
TURSINI Marc ラクイラ大学, 工学部, 助教授
PARASILITI F ラクイラ大学, 工学部, 准教授
CHIRICOZZI E ラクイラ大学, 工学部, 教授
樋口 剛 長崎大学, 工学部, 助教授 (50156577)
辻 峰男 長崎大学, 工学部, 助教授 (80145218)
小山 純 長崎大学, 工学部, 教授 (00037920)
PARASILITI Francesco University of L'Aquila, Faculty of Engineering, Associate Professor
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研究概要 |
電力用半導体素子を用いた電気機器の制御方式に関する調査・研究,さらにその解析・設計に関する調査・研究を行った。研究成果の概要を以下に述べる。 1.DSP及びトランスピュータを用いた電動機駆動法に関して調査した結果,コストの問題で、浮動小数点演算が容易なTMS320C30などが普及するには時間がかかると考えられること,トランスピュータは並列処理に優れ,多数の電動機を協調して制御するのに適することがわかった。 2.誘導電動機のベクトル制御では,二次抵抗の変動による定常及び過渡特性の劣化が問題となっている。これを解決するため,モデル規範適応システム理論を応用した新しいパラメータ同定法を開発した。この方法をDSP制御のインバータ駆動誘導電動機に実際に適用し,理論通りの特性が得られることを確認した。この際,電圧制御をより正確に行うため,パワーデバイスの電圧降下やデッドタイム補償法も開発した。ラクイラ大学ではディジタル制御に伴う諸問題を検討するシミュレーションプログラムを開発した。 3.汎用インバータによる誘導機の駆動システムで,速度センサを省いたいわゆるセンサレスベクトル制御が注目されている。このシステムでは,特に安定性の確保が重要な課題で,系の線形モデルを導出して安定性改善の研究を行った。磁束軸の漏れインダクタンスを省く方式や電流誤差補償によりこの問題の解決を図った。また,DSP制御によるセンサレスベクトル制御システムを試作し,理論と実験の比較検討を行った。制御ゲインの選定において,ディジタルアルゴリズムに伴う高周波振動を生じさせない設計法を確立した。また,センサレス制御においてもパラメータ同定法の研究を行った。更に,瞬時無効電力を用いて,一次抵抗の影響を受けないセンサレスベクトル制御を考案した。 4.同期電動機,永久磁石電動機の制御に関しては,電動機パラメータの非線形性を考慮したトルクの制御法や低速運転時の回転むらの低減に関する研究を行った。 5.特殊電動機の制御に関しては,長崎大学で考案し実現した「半波整流ブラシなし同期電動機」の位置センサレス制御,「交流励磁方式ブラシなし同期電動機」の電圧ベクトル制御に関する研究,「円筒型スイッチド・リラクタンス電動機」の進み角制御・パルス幅制御など制御方法による特性改善に関する研究を行った。また,リニアモータを用いたポンプシステムを提案し,その制御方法に関する研究を行った。 6.電気機器の制御方式の研究を行う上で,制御方法や使用状況に最も適したモータを設計する手法の確立が必要であるとの認識から,長崎大学で非線形最適化手法と空間高調波解析法を用いて電気機器の最適設計パラメータを決定する方法の開発を,ラクイラ大学で非線形最適化手法と有限要素法を用いて電気機器の最適磁極形状を決定する方法の開発を行い,リニア誘導電動機および永久磁石を表面に実装するタイプの永久磁石同期電動機と埋込タイプの永久磁石同期電動機の最適設計法を確立した。また,「半波整流ブラシなし同期電動機」,「交流励磁方式ブラシなし同期電動機」,「円筒型スイッチド・リラクタンス電動機」等,界磁側に短絡巻線を持つ特殊電動機の特性解析法として,有限要素法によって自己インダクタンス,相互インダクタンスを算定し回路理論的に界磁電流を求め,再び有限要素法によって特性を算定する方法を考案し,現在,実験によりその精度を検証中である。 7.現在電気機器の制御装置として一般に用いられているコンバータ-インバータシステムに対して,平滑インダクタンスや平滑コンデンサ等のエネルギー蓄積要素を必要とせず小型で大容量の装置を製作できる特長を持つPWMサイクロコンバータ(マトリックスコンバータ)の開発を行った。本研究では,入力力率が悪い,転流時のスイッチングによる電圧,電流スパイクの発生が発生しやすい,出力電圧が小さい等これまで問題になっていた欠点を改善するために,電源の中間電圧も含めてPWM制御を行う新しい制御方式とそれを実現するためのゲート制御回路を提案し,実験による検証とシミュレーションによるパラメータ決定を行った。
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