研究課題
GABA_B受容体の構造を明らかにするために、ウシ大脳皮質よりGABA_B受容体の精製を試みた。まず、バクロフェンアフィニティーカラムを用いた場合では、バクロフェンの親和性が低いため収率が悪く、高い精製純度も得られなかった。次に、GABA_B受容体のモノクロナル抗体を用いた抗体カラムで精製を行ない、単一タンパクを得た。精製受容体のアミノ酸配列を解析したようとしたが、N末端側はブロックされており、解析不能であった。そこで、精製標品をBrCNであらかじめ切断し、その分解産物をそれぞれ分離・精製した後、分析する必要が生じた。これらの分解産物のアミノ酸配列の解析を行なったところ、一つの分解産物より6アミノ酸分の配列が明らかとなったが、他の標品からアミノ酸配列を解析するのは困難であった。これは分析に必要なタンパク量を十分確保できなかったためである。明かとなった6アミノ酸分の配列はある種のGタンパク連関型受容体のなかに認められるアミノ酸配列と相同性を持つ可能性が高いものであり、受容体由来の配列である可能性が考えられた。この情報を基に、予想される塩基配列のオリゴヌクレオチドを作製し、GABA_B受容体のcDNAクローニングを現在試みているところである。一方、GABA_B受容体に対するモノクロナル抗体を用いて、免疫組織学化学的検討を行なった。この抗体はIgMタイプなのでIgGタイプなどと比べて分子量が大きい。そのため、抗体の組織浸透性をよくする工夫が必要であり、組織の固定条件及び薄切切片の処理条件を改良した。その結果、ラットの脳や消化器などの特定の細胞において特異的染色がみられた。例えば脾臓では、ランゲルハンス島にのみ陽性染色が認められるのに対し、外分泌細胞や血管壁などは全く染まらないという結果が得られた。これらの免疫染色の正当性を検証するために、バクロフェンを用いたオートラジオグラフィー法についても検討しているところである。
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