研究分担者 |
AROCHA Pinan ベネズエラ科学研究所, 主任研究員
WEISEL John ペンシルバニア大学, 医学部, 教授
朝倉 伸司 自治医科大学, 医学部, 講師 (70245033)
三室 淳 自治医科大学, 医学部, 講師 (10221607)
諏合 輝子 自治医科大学, 医学部, 講師 (60183844)
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研究概要 |
1.海外からの構造解析の依頼: 前年度から継続して来たfibrinogen (Fbg) Marburg (ドイツ)についての作業をほヾ終了した.本異常分子はα鎖遺伝子上でのA→T変異の為に停止コドンTAAが早期に出現するため,α鎖C末150アミノ酸残基が欠失し,しかもこの異常短縮α鎖にalbumin (Alb)がジスルフィド結合しているものである.既存の方法では精製が困難であったが,自家製のCa^<++>依存性抗体によるaffinity chromatographyを応用することにより,one-stepでの精製に成功した.活性型XIII因子(XIIIa)によるMarburg fibrin (Fbn)の架橋を分析した所,α鎖結合Albが別の分子のγ鎖に架橋されること,形成された架橋Fbnは線溶酵素plasminによって全く溶解されないことが判明した.この成績は患者で出血のほか創傷治癒不全と血栓症が併存した事実の一端を示す貴重な情報と考えられる.また,血清AlbのFbnへの架橋結合は全くの新知見であり,上の成績をまとめて目下投稿準備中である.Fbgs Gerris (イスラエル)とGuarenas I (ベネズエラ)については解析を継続中である.また,新たに韓国から血栓症患者で見出された異常Fbgが送付されて来た.2月末先方から医師が来訪し,解析を開始した. 2.海外の共同研究者との共同作業: Fbg Caracas II (共同研究者の一人Arocha-Pinango博士からの依頼)の生化学的解析は初年度にほヾ完了したので,一部を他の共同研究者Weisel博士に送り,電顕学的手法による解析を依頼した.正常Fbnが均一で連続するFbn線維束による網状構造を形成するのに対し,CaracasII Fbnは不整でしかも到る処で断裂し,処々に大きな洞状構造(pore又はcave)を持つことが判明した.
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