研究課題
1.ガラクトース添加から遺伝子発現に至る情報伝達機構;深沢らのCa13pを過剰発現するとガラクトース系遺伝子が構成的に発現することが、この際同時にGa180pを過剰発現させるとこの構成的発現が抑えられることを明かにした。さらに、Ga13pのアミノ末端にインフルエンザウイルス由来のHAペプチドを連結したものを発現した酵母の粗抽出液から、抗HA抗体によって沈降する蛋白群の中にGa180pを見いだした。また、HA-Ga13pを精製する方法を確立した。新たなga13ミスセンス変異を10株単離した。半田、和田らは深沢らと協力してGa14pを過剰発現した酵母をガラクトースまたはグルコースを炭素源として培養しても燐酸化されているGa14pの量は変わらないこと、この酵母内でGa180pを同時に過剰発現してガラクトース系遺伝子の発現が完全に抑えても燐酸化Ga14pの量は変わらないことを見いだした。2.特異的転写活性化蛋白と基礎転写複合体との相互作用;深沢、桜井らはKornbergらの精製した基礎転写因子を用いた再構成系を用いて、深沢らのGa111pが基礎転写を促進することを明らかにした。これに引続き、それぞれ精製されたGa111pとTFIIEが複合体をつくることを明らかにした。しかも、その結合は、Ga111pのin vivoにおける機能に必要な領域を介して行われることを明示した。Y-J.KimとKornbergらは、RNA polymerase II は細胞内で約20個の蛋白より成る巨大な複合体と結合て存在していることを明らかにし、さらに深沢らのGa111pとJohnstonらのSuglpが、その複合体の中に含まれていることを示した。また、JohnstonらはSuglpが試験管内でGa14pおよびTATA結合蛋白の両者に結合することを見いだした。かくして共同研究は着々とその実を上げている。さらに、Kornbergらは、基礎転写因子のひとつ、TFIIHが実に9個の蛋白より構成されていることを明らかにした。