研究分担者 |
ARNOULD M. ブリュッセル自由大学, 理学部, 教授
BAYE D. ブリュッセル自由大学, 理学部, 教授
GALSTER W. ルーバン大学, サイクロトロン研究センター, 研究員
LELEUX P. ルーバン大学, サイクロトロン研究センター, 研究員
DELBAR Th. ルーバン大学, サイクロトロン研究センター, 副主任
梶野 敏貴 国立天文台, 助教授 (20169444)
久保野 茂 東京大学, 原子核研究所・核物理研究部, 助手 (20126048)
下浦 享 立教大学, 理学部, 助教授 (10170995)
家城 和夫 立教大学, 理学部, 助教授 (10159577)
BAYE Daniel Department of Physics, Brussels Free University Professor
GALSTER Wilfried Cyclotron Research Center, Catholic University of Louvain Researcher
LELEUX Pierre Cyclotron Research Center, Catholic University of Louvain Researcher
DELBAR Theirry Cyclotron Research Center, Catholic University of Louvain
|
研究概要 |
1.ルーバン大学での研究 (1)^<19>Ne(p,γ)^<20>Na反応の直接測定 ^<19>Neの不安定核ビームを水素標的に入射し、(p,γ)反応の結果生じる^<20>Naのβ線を測定した。高いエネルギーの電子を測定するため、大型ソレノイドとプラスチックシンチレータによる検出装置を開発し、実験を行った。この反応は高温高圧下の水素燃焼過程の中で、CNOサイクルからNeNa領域の燃焼に移行する条件を決めている。そこで重要と思われている励起エルネギ-2.64MeVの準位の崩壊確率は、検出限界以下であった。得られた上限値は、理論的に予想されていた崩壊確率よりも小さかった。 (2)^<13>N(p,γ)^<14>O反応の直接測定 hot CNOサイクルを点火する^<13>N(p,γ)^<14>O反応の測定は、不安定核ビーム加速によって初めて可能になった。理研でのクーロン分解反応による実験と、ルーバン大学での直接反応測定がほぼ同時に行われ、結果は誤差の範囲で一致した。誤差を小さくして、クーロン分解法の信頼度を確立するために、直接測定を再度試みた。64個のNaI (Tl)シンチレータと大面積プラスチックシンチレータによるγ線検出器系を立教大学で組み立て、バックグラウンド放射線の測定・検討を行った後、ルーバン大学に運び、^<13>Nビームによる測定を行った。検出効率の向上により高い計数を得ることができた。結果は現在解析中である。 2.理研での研究 (1)^8Bのクーロン分解反応の実験-I 入射核^8Bが標的核^<208>Pbのクーロン場により分解する過程の実験を行った。太陽ニュートリノ問題の鍵をにぎる^8Be→^7Be+p反応についての知見を得ることが目的である。理論解析上問題となるE2遷移の強度をみつもるため、散乱角度の大きな範囲について測定した。また、^8Bの核構造についての理論計算に関する討論を行い、上述のE2遷移強度についての予想値が従来考えられていたものより小さい可能性があることが明かとなった。実験データの解析の結果からは、特にp-^7Beの相対エネルギーが低い場合には、E2強度がこれまでのどの理論予測よりも小さいことがわかった。 (2)^8Bのクーロン分解反応の実験-II 上に述べた実験では、標的と検出器の間にヘリウムガスをつめ、飛行時間法によって粒子のエネルギーを測定していた。ところが、ヘリウムガスによる核反応が無視できず、p-^7Beの相対エネルギーが低い場合には、精度のよいデータを得ることができなかった。そこで、粒子の飛行距離の大半を真空とするために、想定装置の改造を行い、再び実験を行った。結果は現在解析中である。(1)の実験でE2強度が小さいことがわかったので、クーロン分解法から精度の高い天体物理的S因子(S_<17>)が得られると期待される。 (3)^<12>Nのクーロン分解反応の実験 星の温度が10^8K以上になると、hot pp modeと呼ばれる燃焼過程が始まり、^<11>C(p,γ)^<12>N反応が重要な役割を果たすと予想されている。短寿命の原子核が関与するため測定がされていないこの反応を、クーロン分解法によって調た。実験では約10^5s^<-1>の^<12>Nビームを加速することに成功し、十分な計数を得ることができた。結果は解析中である。 3.理論的研究 (1)クーロン分解反応機構 クーロン分解反応の断面積から(p,γ)反応の断面積を得るためには、分解をもたらす仮想光子の強度を計算する必要がある。従来は、半古典論的方法によって来たが、E2遷移のように核吸収の効果が現れる角度でも大きな断面積が予想される場合には適当でない。量子論的方法(DWBA法)による計算を行い、半古典論との比較を行うとともに、核力の効果を評価した。 (2)^8Bの核構造と(p,γ)反応 ^8Bのクーロン分解反応で調べている^7Be(p,γ)^8B反応を理論的に計算するためには、^8Bの核構造についての正確なモデルが必要となる。^8Bをα+t+pに分解する微視的クラスターモデルを構築し、(p,γ)反応や密度分布の予測を行った。特に大きな4種極能率から議論のあった陽子ハロ-構造については否定的な結論を得た。またこのモデルは、問題となっているE2-M1強度は比較的小さな値を予言する。
|