研究分担者 |
DANIEL Lew アイオワ大学, 口腔外科, 教授
閔 丙一 ソウル大学, 口腔外科学, 教授
NGUYENTHI DU ホーチミン市立口腔病院, 医師
NGUYENTHI NG ツーヅー病院, 院長
鈴森 薫 名古屋市立大学, 医学部・産科婦人科, 助教授 (80117829)
山田 守正 藤田保健衛生大学, 医学部・麻酔科, 講師
香月 武 佐賀医科大学, 口腔外科学, 教授 (70038868)
山中 克巳 名古屋市衛生研究所, 所長
塩田 浩平 京都大学, 医学部, 教授 (80109529)
河合 幹 愛知学院大学, 歯学部・口腔外科学第二講座, 教授 (50064788)
LEW Dainiel University of Iowa Hospitals and Clinics
MIN. Byong-il CHONG-A.DENTAL HOSPITAL
DUC TIN Nguyen Thi Cnetre D'odonto Maxillo Facial HCM Ville
NGOC PHUONG Nguen Thi Tu Du Obstetrical and Gynaecological Hospital
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研究概要 |
ベトナムでは、現在なお、ベトナム戦争当時散布された多量の枯れ葉剤により多くの先天異常児が出生しているといわれているが、この中で最も発現頻度が高いのは、先天的な口の病気である口唇口蓋裂で、我々が今回調査をしたベトナム・ベンチェ省では、枯れ葉剤が多量に散布されており、この影響により発現率は著しく高いと予想されているが、実態は明らかではなかった。我々はベンチェ省副知事で児童保護育成委員でもあるレ・フィン氏より調査ならびに治療技術移転依頼を受け、ベンチェ省の省立病院へ日本の口唇口蓋裂など先天異常の治療の専門家を派遣して、現地の患者の診療活動を実施するとともに現地の医療スタッフの技術指導を行ってきた。同省では枯葉剤が残留した食品の摂取により現在もこのような先天異常の子供達が多数出産していると考えられているが、この実態についてほとんど調査が行われていなかった。そこで我々は、枯れ葉剤の残留状態について解明するとともに、疫学調査などを実施した。現地での調査活動の一環として口唇口蓋裂患者ならび家族の血液を採取した。主な結果は、以下の如くである。 事前調査ならび調査のために下記の如く同国へ出張した。 1 平成7年9月9日〜11日 2 平成7年12月8日〜26日 その結果i)食品中のダイオキシンの調査においては、我々の調査ならびに他の研究者との意見交換の結果、また、人体への影響や本研究結果との関係もあり、すべての食品を調査してもダイオキシンの含有は予測できないと断定して中止した。ii)口唇口蓋裂に関する調査については、ベンチェ省人民委員会、同省グエンデンチュー病院医師等と日本人との間で調査を行い、以下の調査結果を得た。 ベトナム側組織: 自民委員会医療局 団長(医師)1名; 省立グエンデンチュー病院 口腔外科医 2名 口腔外科技術師 2名, 自民委員会児童保護育成委員会 統計員 3名, 日本側組織: 小児科医 1名, 麻酔科医 1名, 口腔外科医 4名, 先天異常専門医 1名, 産科婦人科医 1名 その結果: 調査を行ったベトナム ベンチェ省0-5才の子供169,467名のうち1,690名に何らかの障害が認められ、そのうち口唇口蓋裂は252名であった。これは、日本人のデータと比較して差異は認められなかった。 口唇・口蓋裂の患者ならび家族の血液について遺伝子的に解析を行っているが、他の人種に比して、特異的な差異を見つけるには至らず、我々の研究の範囲では、枯葉剤により現時点での口唇・口蓋裂の多発はなく、また我々の調べた範囲ではダイオキシン等による遺伝子に特異的な変化は認められなかった。
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