研究課題
1 テレビ組立産業90年代に入り、急激な市場経済化が進み、テレビ産業における企業間競争が激化し、企業の分化・合併・淘汰が進んだ。1996年春からは、「価格戦争」が始まり、テレビ産業の再編成と両極化がいっそう進むこととなった。(1)長虹電子集団公司のような内部蓄積型企業拡大、(2)熊猫電子集団公司のような政治救済型吸収合併による企業拡大(3)牡丹電子集団公司のような地域統合型吸収合併による企業拡大(4)康佳電子集団股分有限公司のような多省籍企業型吸収合併による企業拡大(5)「熊猫」-フィリップスや上海広電公司-ソニーのような外資利用依存型の企業拡大が進んでいる。2 自動車産業今後、中国自動車産業が国際競争力を備えた産業として確立していけるかどうかは、政府の産業政策の展開とともに中国自動車企業が生産の効率化と品筆工場を可能にする生産システムを確立できるかどうかに依存している。1996年8月、政府は乗用車市場に関する若干の政策的措置を実施した。その1は、「地方政府による経済型乗用車使用制限」を廃止する通知を出したことである。この背景は、上海と北京の地方政府が若干の行政的規定を定め、自動車の保有と使用に制限を加えたことと地方や都市に拡大したためである。上海市では、タクシーの新規増加や更新に制限する規定を設けたし、北京は、第3環状道路以内では、超小型乗用車の走行を制限する規定を設けた。そしてこれに追随する地方や都市が10以上になった。その2は、国家工商管理局、公安部など7つの部・委員会が自動車、オートバイの不法組立を禁止することを明らかにした。自動車の密輸と不法な組立の輸入車はを取り締まることになった。その3は国家公安部が1996年9月1日から職業運転手だけを対象とした運転免許証取得を改め、職業運転手以外でも取得できるように手続きを簡略化し、制限を緩めた。3 鉄鋼産業鉄鋼の需給に不均衡がみられるが、それは、品種のほか品質面にもみられる。例えば、現在の鞍山製鉄所では、冷延鋼板は作れても、自動車産業からの需要に応じることは品質面で難しい。「世界の先進的水準」に達する製品の比率では、宝山製鉄所が90%でほぼ世界一流の水準にあるとされるほかは、これに次いで高い武漢でも79%であり、鞍山は52%、首鋼では27%にすぎない。さらに、特殊鋼メーカー等では、先進水準に達した製品の比率が1桁という例も少なくない。冶金工業部は、一時検討されていた一貫製鉄所の新設計画をすべて凍結して既存工場の近代化を優先する方針を打ち出しているし、各企業でも、新鋭設備の導入に重点を置くようになってきている。近代化投資の最大の問題は資金調達である。しかも現在のところ、中国の機械工業や電子工業では、鉄鋼業が要求する技術水準の設備を十分に供給することができない。従って、連鋳設備、薄板圧延機等の主要設備はおおむね輸入に依存することとなり、その実施には外貨の制約がある。先進国の中古設備の購入は、限られた資金の中でその目的を達成しようとする努力の現れである。しかし、先進的な設備さえあれば、という過大な期待には疑問もある。それだけでは問題は解決しないからである。最大の問題は操業技術や品質管理等のソフトウェアにあると考えられる。企業関係者の中に、中国鉄鋼業の技術的立ち遅れを意識するあまり、先進国の設備・技術の導入や先進国との合弁事業に過大な期待を抱く傾向があることはやや気掛かりであった。4 電力産業1997年年頭に電力工業部自体を公司化し、「中国電力総公司」となった。電力産業における企業改革の道程において、新たなステージに到達することとなった。公司化によって、次のような電力産業の抱える課題の解決しうるかどうかが当面の問題点となる。(1)5大電力網と中国華能集団公司がその傘下に入る。中国華能集団公司は計画経済的体質を脱却して市場経済的競争力をベースとした経営を取り込みつつあるが、今回の公司化がその力をそぐことにならないように運営することが課題となる。(2)電力産業のような装置産業においては電力需要の急激な拡大傾向の中で、電源立地・電力網建設とそれに伴う設備投資が持続的に拡張拡大しうるかにかかっている。(3)そのためには、コスト管理、とくに資本費の管理の徹底がより重要となる。(4)電力料金の適正化は不可欠である。電源立地・電力網建設とそれに伴う設備投資の持続的な拡張拡大を可能する料金レベルの設定が課題となるだろう。
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