研究課題
この研究の範囲は東アジア経済をカバーする予定であるが、平成6年度はホットスポットである中国の華南経済を中心に調査研究を進めることにした。1、初年度は「資料収集と予備調査に重点をおく」としているが、関連文献・資料の収集、内外研究者や業界・行政・専門家達との研究会・討論会・懇談会等を通じて研究チーム全体の共通の認識を得た。2、今後、中国・華南地域の経済・社会発展の動向がそのダイナミズム、マス・スケールそして、最近沖縄を経由して中台間を行き交うクリアランス船の急増等から判断して、沖縄の将来の経済・社会発展を考える場合、最も大きな影響をもつ、という共通の認識から予備調査として中国・華南地域を研究チームで視察・調査を行った。3、一方、中国国内での経済活動の動向は極めて急速で、諸般の状況から経済活動、外資の投資行動が上海を中心に北方へシフトする傾向が伺える。このようなことから状況把握のため研究チームでの上海、北京そして韓国への視察・調査が不可欠であると考えており、次年度はこの地域への視察・調査を実施する。4、現在の中国は政治体制と経済発展の実勢が相矛盾して同居しているが、どうやら経済発展の実勢に押されて民意や経済活動はとどまるところを知らない状況である。このような状況が更に進んだ場合、急速な経済発展の矛盾としてインフレ・都市問題・モラルの低下等の諸問題が噴出することが懸念される。以上のようなことから、今後はより幅広い視点からの考察が不可欠であると考えている。