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1996 年度 研究成果報告書概要

Bファクトリー端冠部電磁カロリメーターの開発

研究課題

研究課題/領域番号 06044218
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関高エネルギー物理学研究所

研究代表者

福島 正己  高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助教授 (30241227)

研究分担者 祝 王燦  北京高能物理研究所, 第一部門, 教授
BONDAR Alex  ブドカ原子核研究所, 物理部, 上級研究員
金行 健治  東京工業大学, 理学部・物理, 助手 (30224629)
谷森 達  東京工業大学, 理学部・物理, 助教授 (10179856)
渡辺 靖志  東京工業大学, 理学部・物理, 教授 (40126199)
林井 久樹  奈良女子大学, 理学部・物理, 助教授 (50180980)
野口 誠之  奈良女子大学, 理学部・物理, 教授 (90093559)
塚本 敏文  高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助手 (20192643)
李 武鉉  高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助手 (20280505)
佐川 宏行  高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助手 (80178590)
玉井 邦雄  高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助教授 (60125606)
高崎 史彦  高エネルギー物理学研究所, 物理部, 教授 (70011749)
LEE Mookyuu  National Laboratory for High Energy Physics, div
ZHLI Yucau  Instituto of High Energy Physics Beijin
研究期間 (年度) 1994 – 1996
キーワードElectromagnetic Calorimeter / Inorganic Sciufillafor / Cesium Iadide / High Resolution Calorimete
研究概要

BELLEの端冠部カロリメーターとしてタリウム活性化ヨウ化セシウム(CsI(Tl))を使用することを平成7年度に決定した。これに従って平成8年度の研究課題を以下のように設定した。
1.放射線耐性の改善:端冠部に使用するCsI(Tl)が1krad程度の放射線に耐え得ることを確認すること。
2.生産管理:品質の良いCsI(Tl)単結晶をBELLEに許された予算の範囲内で大量生産する技術を確立すること。また生産者および高エ研における、品質管理の方法を開発すること。
3.総合性能検査:プロトタイプのガンマー線検出器を製作し、その総合的な性能を実際のビーム試験で確認すること。
放射線耐性の改善:東工大放射線照射室の協力を仰ぎ、大型結晶数十本にコバルト60からのガンマー線を照射して、東工大と奈良女大で損傷の程度を測定した。東工大では、セシウム137からのガンマー線を光源として光電子増倍管で光量と集光均一度の変化(損傷)を測定した。奈良女大では宇宙線粒子を光源としてフォトダイオードによる光量測定を行った。これによって以下の事柄が明らかになった。(1)CsI(Tl)の放射線損傷は、自然回復によって初期損傷の半分近くが回復すること。(これまで定説がなかった。)(2)損傷が全体で起きた場合と正面の一部分で起きた場合で、平均光量の減少に大きな差異がなく、また均一度の劣化も無視できる程度に小さいこと。これは学術的には放射線損傷が発光機能の損傷でなく光吸収の増大によるものであることを明らかにし、これまでの議論に終止符を打った。またカロリメーター製作の実際面では、平均光量の較正を適切に行って行けば、放射線損傷の大部分は性能(エネルギー分解能)を劣化させることなく補正可能であることを示した点で画期的であった。(3)劣化の程度は、青色中心の測定(於東工大)でも可視光全域の測定(於奈良女大)でも大差はないこと。これは大量生産の品質管理を、より簡単な前者の方法で行えることを示した点で有用であった。(4)上海硅酸塩研究所で製作する結晶について、微量物質を加えることによって大きく放射線耐性を改善できること。
これら一連の実験は、ガンマー線の高エネルギー検出器として世界的に標準化しつつあるCsI(Tl)の放射線損傷について、初めて大規模かつ系統的に報告したものである。
生産管理:自動化光量測定装置および結晶寸法測定装置を日本側で開発し、それぞれをブドカ原子核研究所と上海硅酸塩研究所に設置した。これによって、結晶一本あたり光量測定は4分以内、寸法測定は3分以内で行えるようになり、生産効率や品質管理の改善に大きな力を発揮している。同一の装置は、高エ研で最終的な納入管理にも使用している。
総合性能検査:CsI(Tl)を使用したプロトタイプのガンマー線検出器36本を製作し、ブドカ原子核研究所のタッグド光子ビームを用いて試験した。ガンマー線検出器の製作は日本側で行ない、ビームラインとデータ収集装置の整備はロシア側で行なった。測定対象のエネルギー分解能は2%程度であるから、光子ビームが高分解能であることが重要である。ブドカ原子核研究所のビームは、レーザー光のコンプトン反跳電子を運動量解析することによって光子ビームの運動量を0.3%以下の精度で知り得るユニークなものであった。測定結果は現在日露双方で解析中であるが、予備的解析によれば、エネルギー40MeVで4.0%、800MeVで1.8%のエネルギー分解能が得られることが判明している。これによて、BELLEの電磁カロリメーターがこれまで世界で製作された大規模高分解電磁カロリメーターのなかでも特に優れた性能を持つ事が実証された。(例えば、CLEO2のエネルギー分解能は100MeVの光子に対して4.0%と報告されている。)
今後の研究方針:CsI(Tl)は比較的低速のシンチレーターであるため、実際の使用状況では、雑音粒子による信号のパイルアップなどによって性能が制限される可能性が憂慮される。今後は、波形サンプリングや信号の高速オンライン解析などによってこれを軽減する方法を研究したい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Y.Ohshima et al.: "Beam Test of CsI (Tl) Calorimeter for the BELLE Detector" Nuclear Instium and Methods. A380. 517-523 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] A.Ochi et al.: "Study of Large Area Avalanche Photodiode as a Fast Photon or a Soft Xrag Detector" Nuclear Instium and Methods. A378. 299-303 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] K Kazui et al.: "Study of the Radiation Hardbness of CsI (Tl) Crystals for the BELLE Detector" KEK prepriat (NIM). 96-164 (Sabmitted). (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] A.Satpathy et al.: "Nuclear Cauute Effect of Silicon PIN Photodiode used in CsI (Tl) Calorimete KEK Prepriat" (NIM). 96-168 (Sabmitted). (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] V.M.Aulcheuko et al.: "A Study of BELLE CsI Calorimete Prototype artgh BINP Tagged Photom Beam under preparation" (NIM). (to be subnritted NIM).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1999-03-09  

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