研究課題
(1)牛疫ウイルス感染牛におけるウイルスの動態これまで不可能であった感染動物の組織中の強毒牛疫ウイルスの力価測定が今回、B95a細胞システムによりはじめて成功した。これにより今後、体内でのウイルス動態の研究が容易となった。(2)牛疫ウイルスに対する細胞障害性T細胞の試験法についての基礎的検討牛疫ウイルスH遺伝子を組み込んだワクチニアウイルスを接種した牛について細胞障害性T細胞の検出のためのシステムの確立を試みた。末消白血球をPHA刺激でblast化したのち、牛疫ウイルスを接種して自己標的細胞としたが、成績にばらつきがあるため、皮膚組織を用いる方法およびウイルス接種のかわりに牛疫ウイルスH遺伝子を組み込んだアデノウイルスの使用を検討した。本年度はアデノウイルスへの牛疫ウイルス遺伝子組み込みを行なった。一方、細胞障害性T細胞の標的としてNP蛋白の関与が考えられることから、NP遺伝子を組み込んだワクチニアウイルスの作成を行ない、NP蛋白の発現を確認した。(3)分子疫学的研究牛疫ウイルスH蛋白に対するモノクローナル抗体を多数作出した。そのうちPPRウイルスに存在しないエピトープに対するものが得られたので、本抗体を用いた競合ELISAにより、牛疫ウイルスとPPRウイルスの鑑別が可能であることが確認された。また、NP-DNAをプローブとしたドット・ブロットでも両ウイルスの鑑別が可能であることを明らかにした。