研究課題
下痢症ウイルスのアストロウイルスおよびノ-ウォーク関連ウイルスの遺伝子診断法を確立した。その方法を用いて、食中毒様下痢の場合のみでなく、一般外来の検体からも可能とした。遺伝子解析により更に詳細に遺伝子型を検討できた。その結果アストロウイルス、ノ-ウォーク関連ウイルスが一般外来で5〜10%存在する事がわかった。アストロウイルスは1型が多く、ノ-ウォーク関連ウイルスではスノーマウンテン亜群が多いことがわかり、プロトタイプとは僅かに配列が異なっていた。現在この方法を諸外国の検体において試みている。ロタウイルスVP7遺伝子の解析を前年度に続き行った。今年は血清型1、2に続き3型を中心に行った。3型の20株の塩基配列は、1、2型に比較すると国、年代による差が大きいことがわかった。またその内の1株について、他の株とは非常に異なる配列を見い出した。1995年晩秋から冬にかけて、ロタウイルス陰性の下痢が多く見られた。これらの検体に対し、小型球形ウイルス用のRT-PCRで陽性が見られたがその頻度は期待した程多くはなかった。中国に流行しているB群ロタウイルスについてVP5遺伝子の解析を行った。この遺伝子はウイルス増殖に重要な働きを司っている。大腸菌の中にプラスミドを用いて組込み、ウイルスを増殖させた後に、遺伝子解析を行った。以上の事から遺伝子レベルでの下痢症ウイルスの診断は飛躍的に進歩した。現在、中国、パキスタン、タイの他に、マレーシアに於いても検体採取の方向に進んでいる。ノルウェー、イギリス、アメリカ合衆国とも情報および検体の交換を行っている。
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