研究分担者 |
JAMES B.M. School of Physics, Univ. of Sydney, Ass. Prof.
BRAND G.F. School of Physics, Univ. of Sydney, Lecturer
CROSS R.C. School of Physics, Univ. of Sydney, Ass. Prof.
小川 勇 福井大学, 工学部, 助教授 (90214014)
立川 敏明 福井大学, 工学部, 助教授 (00020206)
TATSUKAWA T Faculty of Engineering, Fukui University, Assoc.Prof.
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研究概要 |
1)サイクロトロン2次及び3次高調波動作を用いたジャイロトロンの超高周波化 福井大学の12T及び17T超伝導マグネット,シドニー大学の12T超伝導マグネットを用いて,ジャイロトロンの超高周波化の研究を行った。 封じ切りのジャイロトロン管(GYROTRON FU IV)を制作し,12T超伝導マグネットを用いて,サイクロトロン基本波動作で,159〜314GHz,2次高調波動作で,336〜587GHzの周波数範囲の発振を確認した。出力は封じ切り管の特長を反映して,1.4kWの比較的高い出力を記録した。同じ封じ切りのジャイロトロン管を17T超伝導マグネットに設置して,発振テストを行い,サイクロトロン基本波動作で159〜443GHz,2次高調波動作で,336〜847GHzの周波数範囲の発振を確認した。このジャイロトロンが達成した最高周波数847GHzは,現時点での世界最高記録である。 2)ジャイロトロンのcw(連続)動作 福井大学では,新たなcw高電圧安定化電源を購入し,GYROTRON FU IVを用いて,サイクロトロン基本波動作で,cw(連続)動作のテストを行った。300GHz近傍で,20Wの出力を得ることに成功した。 一方,シドニー大学でも,GYROTRON V を用いて,cw(連続)動作のテストを行った。福井大学で開発した高調波ジャイロトロンの原理を導入して,高周波化の研究を行い,サイクロトロン基本波と2次高調波における動作を併用して,周波数範囲150〜615GHzを覆うジャイロトロンを実現した。 3)サブミリ波ジャイロトロンの振幅変調及び周波数変調 ジャイロトロン出力の振幅変調及び周波数変調は,ジャイロトロンを広範囲の研究のために,光源として用いるために重要である。福井大学では,シドニー大学との共同研究として電子銃の陽極変調による出力の振幅変調と陰極変調による周波数変調の研究を行った。 4)基本波動作と高調波動作のモード競合及びモード協力の研究 2次高調波動作が基本波動作をトリガーすることにより,基本波動作の開始ビーム電流を低下させ,ビームエネルギーを高効率で引き出して,電磁波エネルギーに変換する機構があることを見いだし,実験的にも証明することができた。この現象は,一種のモード協力であり,ジャイロトロンの高効率動作を可能にする 5)サブミリ波ジャイロトロン出力に適用するための準光学的装置の開発 6)高温超伝導体を用いたミリ波高感度受信機の開発研究 7)ジャイロトロン出力を光源とするプラズマ散乱計測 開発したミリ波ジャイロトロンを光源とするプラズマ散乱計測装置を試作し,シドニー大学のトカマク装置TORTUSのアルフェン波加熱時の入射波の検出に成功した。この測定は,プラズマ加熱効率向上のための資料を提供するために不可欠のものである。 また,福井大学のGYROTRON FU II を光源とするサブミリ波散乱計測装置を製作し,核融合科学研究所のCHS装置に設置して,プラズマ中に自然励起されるドリフト波の測定を行い,その検出に成功した。ドリフト波はプラズマ閉じ込めに悪影響を与える波動であるので,その制御が必要であり,本測定はそのための情報を得るために必要である。 8)ジャイロトロン出力を光源とするミリ波ESR 福井大学で開発した GYROTRON FU I を光源とする広帯域ミリ波ESR装置を完成し周波数範囲65〜135GHzを覆うことに成功した。この装置を用いて,1)DPPHの単結晶試料と粉末試料のESRの共鳴線幅の相違について,実験的研究を行い,2)ルビーのESRの角度依存性の実験結果から,構造定数Dの検討を行った。
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