研究分担者 |
DAVIES P. シドニー大学, 地質学地球物理学教室, 教授
AITCHISON J. シドニー大学, 地質学地球物理学教室, 助教授
小嶋 智 名古屋大学, 理学部, 助教授 (20170243)
鈴木 和博 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90111624)
足立 守 名古屋大学, 理学部, 教授 (10113094)
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研究概要 |
オーストラリア大陸の東端の山岳地帯一帯は古生代から中生代に形成された変動帯であり,いわゆるニューイングランド造山帯を構成している.今回の国際学術研究は,(1)このニューイングランド造山帯の形成史の研究が歴史的にどのような視点にたって進められてきたかを最近のシドニー大学アイチソンらの研究成果を参考にして検討すること,(2)ニューイングランド造山帯で構造発達史の解析上,大きな鍵を握っているガミラロイ帯,ウェラエライ帯,ジュンガジ帯の実体を調査し,これら相互の関係を野外において検討すること,(3)ポートマッコ-リィ帯の超塩基性岩類の分布を確認し,代表的な試料を収集してその岩石化学的性質を検討すること,(4)シドニー盆地の堆積相とそれより下位にあるニューイングランド造山帯の堆積相とを比較・検討すること,の4点を主な目的として進められた.野外調査,とくに(2)に関しては,野生カンガル-の群れ跳ぶニューイングランド造山帯の中央部において,シドニー大学の一行とキャンプを張った. ニューイングランド造山帯の日本列島の中・古生代造山帯は,前者が主として古生代末に,後者が主として中生代末にその基本構造が出来上がったという時期的な差があるにもかかわらず,両変動帯とも,その研究史は共通して“地向斜"造山論に基礎をおいて検討された戦後の時期,“プレートテクニクス"のいわゆるsimplistic subduction modelsに基礎をおいて検討された1960年代から1970年代,そして“テレーン解析"が進められた1980年代以降,の3時期を経て現在に至っている.このことは大陸縁辺の変動帯の形成機構に関して,共通の本質的な過程が含まれていることを意味して,興味深い.来年度は,以上の研究をさらに進め,期待される成果を参考にして,美濃帯などによって代表される日本列島の中・古生代造山帯の形成史との比較を詳しく行う予定である.
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