1996 年度実績報告書

多成分多相系高分子複合系のモルホロジーと気体選択透過性に関する協力研究

研究課題

研究課題/領域番号	06045018
研究機関	名古屋工業大学
研究代表者	辻田義治名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70016591)
研究分担者	吉水広明名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10240350) 木下隆利名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (60135407) HIGGINS J.S. Imperial College. Dept. of Chemical Engine, 教授
キーワード	ポリマーブレンド / ポリスチレン / ポリカーボネート系ブレンド / ポリメタクリル酸メチル / スチレン-アクリロニトリル共重合体系ブレンド / ポリイミド / ポリイミド系ブレンド / 相溶性 / 気体輸送特性 / 加成性 / 固体NMR法
研究概要	本研究では多成分多相系高分子複合系のモルホルジ-と気体選択透過性の関係を明かにするため、以下の3つのポリマーブレンド系に対し種々の検討を行った。 1.ポリスチレン(PS)/ポリカーボネート(PC)系ブレンド PS/PC系ブレンド膜が相分離していること並びにPC成分の一部が結晶化していることを、DSC及びWAXD、固体NMR法より確認した。この系のCO_2収着量は二成分の単純な加成性から予測される値よりも多かったが、これはPCの結晶成分にはCO_2が収着しないとすることで説明された。ポリメタクリル酸メチル(PMMA)/スチレン-アクリロニトリル共重合体(SAN)系ブレンド PMMAとSANとは限られた共重合体組成で相溶することを固体NMR法から確認し、さらに光散乱の結果と同様なLCST型相図も得た。一般的な相溶系ブレンド膜とは異なり、PMMA/SAN系ブレンド膜のCO_2透過及び拡散係数は加成性から予想されるよりも大きな値となった。これはPMMAの局所的な分子運動がSANと相溶した場合に幾分活性化するためで、誘電分散測定より裏付けられた。なお溶液^<13>CNMRスペクトルの解析から、この系の相溶化因子としてSANのシーケンスの重要性が示唆された。 3.ポリイミド/ポリイミド(PI/PI)系ブレンド PI膜の気体透過性のみを向上させるために、棒状PI/屈曲性PI系ブレンド膜を調製し、TEM観察やDMS測定などから相溶化条件を確認した。体積緩和の進行が同種分子鎖関と異種分子鎖関では異なるため、部分的に相分離した膜ではアニール処理による透過性の低下が顕著であるに対し、相溶した膜ではその影響は無視できた。ここで用いたPI/PI系ブレンド膜の透過係数は加成性から予想されるよりも大きな値となり、剛直で互いに分子骨格の異なるPIのブレンドは気体透過性を向上させる有効な手段であった。

研究成果

(12件)

すべてその他

すべて文献書誌 (12件)

[文献書誌] S.Kato,Y.Tsujita,H.Yoshimizu T.Kinoshita,J.S.Higgins: "Characterization and CO_2 sorption behavior of polystylene/polycarbonate blend system" Polymer. 38. (1997)
[文献書誌] 宮内実、吉水広明、辻田義治、木下隆利: "PMMA/SAN系ブレンド膜の構造と気体収着特性" 高分子学会予稿集. 46. (1997)
[文献書誌] 岡戸芳男、吉水広明、辻田義治、木下隆利、金城徳幸: "ポリイミド/ポリイミドブレンド膜の気体輸送特性に及ぼす相溶性の効果" 高分子学会予稿集. 46. (1997)
[文献書誌] 岡戸芳男、吉水広明、辻田義治、木下隆利、金城徳幸: "ポリイミド/ポリイミドブレンド膜の相溶性と気体輸送特性" 第34回高分子と水に関する研究会講演要旨集. 7-8 (1996)
[文献書誌] 岡戸芳男、吉水広明、辻田義治、木下隆利: "ポリイミド/ポリイミドブレンド膜の相溶性の違いによる気体透過性への影響" 高分子学会予稿集. 45. 943-943 (1996)
[文献書誌] 加藤俊介、吉水広明、辻田義治、木下隆利: "ポリメタクリル酸メチル/スチレン-アクリロニトリル共重合体ブレンド系の相溶性と共重合体コモノマーシーケンスの相関" 高分子学会予稿集. 45. 692-692 (1996)
[文献書誌] 加藤俊介、吉水広明、辻田義治、木下隆利: "固体高分解能NMRによるポリメタクリル酸メチル/スチレン-アクリロニトリル共重合体ブレンド膜の相溶性に対する" 繊維学会予稿集. 1995(F). F106-F106 (1995)
[文献書誌] 加藤俊介、吉水広明、辻田義治、木下隆利: "PS/PCブレンド膜のCO_2収着特性" 高分子学会予稿集. 44. 794-794 (1995)
[文献書誌] 辻田義治、吉水広明: "剛直ポリイミド膜の気体透過性" 高分子加工. 45. 80-87 (1996)
[文献書誌] 辻田義治、吉水広明: "ポリイミド気体透過膜" 新素材. 7・5. 13-17 (1996)
[文献書誌] 辻田義治他: "高分子と水" 共立出版, 24 (1995)
[文献書誌] 辻田義治他: "高分子の物性" 共立出版, 58 (1994)

1996 年度 実績報告書

多成分多相系高分子複合系のモルホロジーと気体選択透過性に関する協力研究

研究代表者

辻田 義治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70016591)

研究成果

[文献書誌] S.Kato,Y.Tsujita,H.Yoshimizu T.Kinoshita,J.S.Higgins: "Characterization and CO_2 sorption behavior of polystylene/polycarbonate blend system" Polymer. 38. (1997)

[文献書誌] 宮内 実、吉水広明、辻田義治、木下隆利: "PMMA/SAN系ブレンド膜の構造と気体収着特性" 高分子学会予稿集. 46. (1997)

[文献書誌] 岡戸芳男、吉水広明、辻田義治、木下隆利、金城徳幸: "ポリイミド/ポリイミドブレンド膜の気体輸送特性に及ぼす相溶性の効果" 高分子学会予稿集. 46. (1997)

[文献書誌] 岡戸芳男、吉水広明、辻田義治、木下隆利、金城徳幸: "ポリイミド/ポリイミドブレンド膜の相溶性と気体輸送特性" 第34回高分子と水に関する研究会 講演要旨集. 7-8 (1996)

[文献書誌] 岡戸芳男、吉水広明、辻田義治、木下隆利: "ポリイミド/ポリイミドブレンド膜の相溶性の違いによる気体透過性への影響" 高分子学会予稿集. 45. 943-943 (1996)

[文献書誌] 加藤俊介、吉水広明、辻田義治、木下隆利: "ポリメタクリル酸メチル/スチレン-アクリロニトリル共重合体ブレンド系の相溶性と共重合体コモノマーシーケンスの相関" 高分子学会予稿集. 45. 692-692 (1996)

[文献書誌] 加藤俊介、吉水広明、辻田義治、木下隆利: "固体高分解能NMRによるポリメタクリル酸メチル/スチレン-アクリロニトリル共重合体ブレンド膜の相溶性に対する" 繊維学会予稿集. 1995(F). F106-F106 (1995)

[文献書誌] 加藤俊介、吉水広明、辻田義治、木下隆利: "PS/PCブレンド膜のCO_2収着特性" 高分子学会予稿集. 44. 794-794 (1995)

[文献書誌] 辻田義治、吉水広明: "剛直ポリイミド膜の気体透過性" 高分子加工. 45. 80-87 (1996)

[文献書誌] 辻田義治、吉水広明: "ポリイミド気体透過膜" 新素材. 7・5. 13-17 (1996)

[文献書誌] 辻田義治 他: "高分子と水" 共立出版, 24 (1995)

[文献書誌] 辻田義治 他: "高分子の物性" 共立出版, 58 (1994)

1996 年度実績報告書

辻田義治名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70016591)

[文献書誌] 宮内実、吉水広明、辻田義治、木下隆利: "PMMA/SAN系ブレンド膜の構造と気体収着特性" 高分子学会予稿集. 46. (1997)

[文献書誌] 岡戸芳男、吉水広明、辻田義治、木下隆利、金城徳幸: "ポリイミド/ポリイミドブレンド膜の相溶性と気体輸送特性" 第34回高分子と水に関する研究会講演要旨集. 7-8 (1996)

[文献書誌] 辻田義治他: "高分子と水" 共立出版, 24 (1995)

[文献書誌] 辻田義治他: "高分子の物性" 共立出版, 58 (1994)