研究課題
1.研究目的遺伝子が外的要因によって損傷を受けると、遺伝情報が変化し、がんや突然変異となって人体に障害をもたらす。本研究はそのような遺伝子損傷を修復する分子機構について(1)遺伝病患者の中に損傷を生じやすい素質の人があり、その原因が修復の欠損であること、(2)修復欠損となるような変異は民族によって違いがあること、の2点を主に研究することを目的とする。国際共同研究の相手側である連合王国のBridges教授らのグループは、このような遺伝病に関する研究では世界的に最も実績があり、多数の細胞株を保持している。昨年度はDNA鎖切断を中心に調査研究を行ったが、本年度は自然突然変異の分子機構について共同研究を行う。最近自然突然変異を高める遺伝子がヒトにも存在することが示唆されており、それの検索と、研究手法の開発、確立をめざしたい。2.研究成果と考察サセックス大学の研究グループとは前年度から本研究により共同研究を進めてきたが、本年度は8月〜9月に武部(研究代表者)が訪問し、主にCarr(研究分担者)が研究している分裂酵母のDNA修復欠損について共同研究を行った。この材料は日本では研究者が少なく、ヒト細胞には不確実な組換え型の修復がみられるという新しい情報を入手できた。平成8年1月には八木(研究分担者)がサセックス大学を訪問し、主にBriges(研究分担者)、Lehmann(平成6年度、分担者、8年度も予定)と共同研究を行い、ヒトの高発がん性遺伝病である色素性乾皮症における突然変異および色素性乾皮症と遺伝子が一部共通している可能性のある疾患とその患者細胞について情報を交換した。このような患者は日本でほとんどみつかっていないので、今後存在の有無、なぜ少ないのかなどの研究を進めたい。サセックス大学から数系統の細胞の提供を受けた。
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