研究分担者 |
BURKINSHAW S 連合王国, リーズ大学・色素化学および染色学科, 助教授
LEWIS D.M. 連合王国, リーズ大学・色素化学および染色学科, 教授
老田 達生 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (90152032)
三木 定雄 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (30135537)
上田 充夫 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (20243123)
梶原 莞爾 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (10133133)
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研究概要 |
紫外線,低温プラズマ,スパッターエッチングなどの高エネルギー処理を繊維にほどこし,処理後の繊維の表面特性と染色性などを検討した. 主としてセルロース系繊維を基質に選び,180nmの真空紫外を含む高エネルギー紫外線を照射すると,セルロース主鎖中のグルコースの2,3位の水酸基が光酸化され環開裂とともにジアルデヒドが生成することがXPS,FTIRなどの検討結果から判明した.この紫外線照射セルロースはジアルデヒドに起因する還元性を示し,紫外線に照射された部分だけ銀イオンを還元する機能を持つこともわかった.この紫外線照射セルロースを通常の染料で染色すると,照射部分のみ淡色に染色された.未処理の部分と照射部との染料親和性を比較すると,紫外線照射によって染料の親和性は未処理の50%程度に低下することが判明した.この現象は紫外線照射に伴うセルロース上のジアルデヒドの生成に起因するものと考えられる.この結果から,紫外線照射によってセルロース繊維の色素親和性をコントロールすることが可能であるという知見が得られた. 一方,プラズマ処理の場合は,羊毛を基質として検討を行なったが,酸素プラズマ処理羊毛の色素親和性は未処理のものに比べて増加することが判明した.XPS分析ではプラズマ処理に伴うスペクトルの変化が顕著でないことから,羊毛基質そのものの化学的な変化は少なく,むしろスケール間のCMCの特性がプラズマ処理によって変化し,色素の拡散速度が増大することに起因するものと推定した. 他方,スパッターエッチング処理では色素親和性はほとんど変化がなかった.しかしながら,染色後の繊維をスパッターエッチング処理すると,繊維表面の光学特性が変化し,色彩学的に濃色になることが判明し,この方法も濃淡模様の作成に有効であることが確認できた.
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