研究分担者 |
BURKINSHAW S 連合王国, リーズ大学・色素化学および染色学科, 助教授
LEWIS D.M. 連合王国, リーズ大学・色素化学および染色学科, 教授
佐藤 哲也 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (20252546)
浦川 宏 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 講師 (10183211)
老田 達生 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (90152032)
三木 定雄 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (30135537)
上田 充夫 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (20243123)
梶原 莞爾 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (10133133)
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研究概要 |
紫外線,グロー放電処理,スパッタエッチング処理などの高エネルギーの電離活性線を繊維に放射し,繊維の染色性を制御する検討を行った. 前年度は主としてセルロース繊維そのものに高エネルギー活性線を放射し,その染色性の変化と,そのメカニズムに関して検討したが,本年度は,さらに,光反応性の物質をあらかじめセルロース基質上に処理し,高エネルギー活性線の放射によって光反応性物質をセルロース基質上に固着し,セルロース基質をより機能的に改質する研究に展開した. 光反射性物質としては種々のメタクリル系機能性モノマーを用いた.四級アンモニウム基を分子内に有するメタクリル系モノマーは,短波長の電磁波の照射によって効果的にセルロース基質上に固着し,セルロースをカチオン性に変化させることが判明した.この方法を用いれば,一般的にセルロース繊維の染色に用いられる直接染料あるいは反応染料などのアニオン性染料のセルロース基質に対する親和性が著しく向上することになる.しかも,短波長電磁波の照射位置および照射エネルギーを任意にコントロールすることで,セルロース基質のカチオン化を任意にコントロールすることが可能となり,処理したセルロース繊維へのアニオン性染料の染色性を任意にコントロールできることになる.とくに電磁波照射時にマスクなどを用いて柄模様を持った照射を行うと,その後のアニオン性染料の一浴での浸染によって,高い吸尽率で濃淡柄模様を持った染色物を得ることが可能である.この技術は,電磁波の照射で柄を形成させることが可能で,かつ,処理を行ったセルロース基質は,通常のものに比べて極端に染料との親和性が高くなるという特徴を持つことから,染色時の染料利用率が著しくに向上し,環境中に排出される染料排出量が顕著に低減できるという大きな利点を持つことが明らかになった.
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