研究課題/領域番号 |
06045035
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
入野 昭三 香川医科大学, 学長 (50033056)
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研究分担者 |
WAISMAN Davi カルガリ大学, 医学部, 教授
玉置 大器 カルガリ大学, 医学部, 教授
SMITH Eldon カルガリ大学, 医学部長
山口 文徳 香川医科大学, 医学部, 助手 (40271085)
徳田 雅明 香川医科大学, 医学部, 助教授 (10163974)
高原 二郎 香川医科大学, 医学部, 教授 (00033085)
竹内 義喜 香川医科大学, 医学部, 教授 (20116619)
畠瀬 修 香川医科大学, 医学部, 教授 (50033220)
細川 清 香川医科大学, 副学長 (70093698)
ELDON Smith University of Calgary・Dean
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | Cdk5 / p35 / calcineurin / Ca / calmodulin kinases / カルシウム / リンパ球 / 軟骨 / 脳 / 網膜 |
研究概要 |
1,神経系において神経細胞の可塑性を制御する新しいサイクリン系の制御因子p35を同定した。さらにそれにより活性を調節されているリン酸化酵素Cyclin-dependent kinase 5(Cdk5)がアルツハイマー脳では健常脳或いはパーキンソン脳等の他疾患脳に比して著明に増加していることを示した。それに伴いp35も同様に増加していた。アルツハイマー病等のヒト脳をカルガリ大学医学部のDr.Clarkより供給を受け、症例数を増やして確認をしている。リン酸化のターゲット蛋白質であるTau蛋白質のリン酸化がこのCdk5/p35の変動と並行していることを証明した。Tau蛋白質はCdk5/p35によりそのリン酸化状態を制御された結果、老人班において認められるtangleの原因となっていることが示唆された。 2,血球系においてのクロストーク機構の解明を正常リンパ球と白血病系リンパ球との比較において行った。両者間には細胞内リン酸化に明らかな差があり、特にカルシウムに関連したリン酸化が癌細胞において増加していることを示した。カルシウム動態で言えば正常に比して白血病系リンパ球では20-30%カルシウムイオン濃度が高いことが分かった。またカルシウムにより制御され、リンパ球においてその存在が確認されているリン酸化酵素であるCa/calmodulin kinase-IV(CaMK-IV)の発現量を調べたところ、白血病系リンパ球において増加していることが分かった。 3,in situ hybridization法によるp35,Cdk5の、脳を中心とした神経細胞においての分布の解析を行った。小脳においては、プルキンエ細胞においてp35、Cdk5の明らかな存在が確認された。顆粒細胞においてはほとんど認められなかった。脳以外の組織では網膜において両者の存在が確認された。特に内顆粒層が神経節細胞層において、光情報伝達関連の働きが示唆されている。脳と網膜においてはp35のアイソフォームであるp39が存在していることも示した。これらによりCdk5の活性が制御されているらしい。また、精巣においてもCdk5が存在することを示した。特にセルトリ細胞及びライディッヒ細胞において認められ、これら細胞の増殖や分化に関連しているものと考えられた。p35は確認できなかった。 4,軟骨系におけるカルシウム/カルモジュリン依存性リン酸化酵素IV(Ca/calmodulin kinase-IV;CaMK-IV)の発現と機能の解析を行った。軟骨を形成する過程でのCaMKIVの関与の有無を解析すべく行った免疫組織染色ではCaMKIVは軟骨形成の増殖帯を中心にした分化初期にのみ認められたが、分化の後期になると消失していた。これはCaMK-IVが軟骨形成に積極的に関与していることを示唆している。現在はこのCaMKIVの基質蛋白質の解析を中心に行っている。 5,Ca/calmodulin kinase-I,II,IVの及びCa/calmodulin phosphatase(CaN)の同一組織内(脳及び網膜)での分布の同時解析を試み、Ca/Calmodulin系により制御されているリン酸化系-脱リン酸化系の解析を行った。今回は特に海馬にて行い、従来報告されていたCaMK-IIとCaNのみならずCaMK-I及びCaMK-IVも存在していることを示した。この分布と発現量が疾患系、特にアルツハイマー病脳においてどのように調節されているかを解析中である。 これらを中心に研究の進展を見、すでに数編の論文を完成した。また現在投稿中あるいは投稿準備の論文も幾つかある。
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