研究課題/領域番号 |
06045043
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
小澤 秀樹 大分医科大学, 医学部, 教授 (90204198)
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研究分担者 |
CASTRO Merce 国立アイバール病院, 消化器病研究臨床センター(サントドミンゴ自治大学の関連教育病, 疫学部長
PICHARD Rafa サントドミンゴ自治大学, 医学部, 教授
伊東 盛夫 大分医科大学, 医学部, 教授 (70038751)
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キーワード | ドミニカ共和国 / 虚血性心疾患 / 死因統計 / 死亡診断 / 診療記録 |
研究概要 |
先進国では虚血性心疾患が多発するが発展途上国ではそれより感染症に関心が高い。ドミニカ共和国では死因の2位が虚血性心疾患であることが死亡統計で示されている。果たして虚血性心疾患が多いのかという観点から死亡診断の確かさを検討すると共に、虚血性心疾患の危険因子の検討を進めてきた。死因調査については、同国中央部のサルセ-ド地区(人口12万人)の1990〜91年2年間の全死亡票より循環器疾患223例を抽出した。このうち虚血性心疾患は32%で心不全(19%)、脳血管疾患(17%)より多かった。ところが虚血性心疾患に分類された72例のうち21例が死亡診断名が「心臓発作」と記されていた。この診断状況を検討するためサルセ-ド地区の唯一の国立病院に赴き、同病院が死亡診断した循環器疾患の診療記録を調査した。診療記録を把握できた10例のうち、心電図記録のあるものは2例のみで、1例は心筋梗塞の所見を確認できたが他の1例は心電図に同所見は認めなかった。心筋梗塞の診断に必要な血清酵素検査が実施された例は1例もなかった。従って心筋梗塞の可能性を考える所見が乏しいままに虚血性心疾患に分類される病名がつけられているものが多いものと考えられた。さらに、死亡例の90%以上は病院外で死亡しており、医師は死亡の報告にきた家族から死亡に至る状況を聞いて死亡診断書を書くことが通例であることが判明した。以上のことから、虚血性心疾患が死亡統計上多いことは、死亡診断習慣の影響が大きいものと考えられた。 一方、虚血性心疾患のリスクファクターの調査として、食生活について面接聞き取り方式により24時間の摂取食物調査を100人について実施した。ドミニカ共和国で用いている食品成分表により摂取栄養量を計算中である。概要としては、カロリー摂取は日本人の平均より約20%多く、脂肪摂取量が多いことが特記される。さらに詳細に検討中である。
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