研究課題/領域番号 |
06045043
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
小澤 秀樹 大分医科大学, 医学部, 教授 (90204198)
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研究分担者 |
CASTRO Merce 国立アイバール病院, 消化器病臨床研究センター(サントドミンゴ自治大学の関連教育病, 疫学部長
PIMENTEL Ron サントドミンゴ自治大学, 医学部, 教授
伊東 盛夫 大分医科大学, 医学部, 教授 (70038751)
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キーワード | ドミニカ共和国 / 栄養調査 / 虚血性心疾患 / 24時間思い出し法 / 脂質エネルギー比 / 因子分析 |
研究概要 |
ドミニカ共和国の死亡統計では虚血性心疾患(CHD)による死亡は死因に内で最も多い。我々は、これまでにドミニカ人における冠危険因子の保有状況を調査し、CHDの発生の低い日本人と比べてもそのリスクは低いことを示してきた。そこで本年度は、ドミニカ人の栄養摂取状況と食物消費構造を把握するとともに、CHDの発生を増加させる要因について栄養摂取面から考察を加えた。調査対象はドミニカ共和国の首都・サントドミンゴ市にある消化器センター職員103名(男性22名、女性81名)である。面接聞き取りによる24時間思い出し法を用いた栄養調査を実施した。その結果、一人一日あたりの平均摂取エネルギーは2030kcalであり、たんぱく質、脂質、炭水化物の摂取量はそれぞれ66.3g、89.1g、248gであった。栄養比率でみると、脂質エネルギー比が39.5%、糖質エネルギー比が48.6%であった。たんぱく質と脂質の動物性の比率は、動物性たんぱく質比が61.9%、動物性脂質比が42.8%であった。また、収入状況別にみると、動物性たんぱく質と動物性脂質の摂取量が収入が高い群の方が低い群に比べて増える傾向にあった。次に、14食品群の摂取状況から食物消費構造をみるために、食品群別摂取量を変量として因子分析を行った。その結果、第1因子に穀類、豆類、油脂類などの「主食型」、第2因子に果実類、砂糖及び甘味などの「単純糖質型」、第3因子に肉類、いも類などの「主菜型」の因子が抽出(第3因子までの累積寄与率35.6%)され、これらの因子に代表されるドミニカ人の食事パターンがうかがわれた。本研究から、ドミニカ人の食事の傾向として脂質エネルギー比は高いけれども、動物性脂質比は低く、このことは穀類、豆類といった主食の調理の際に用いられる植物油の多さが要因として考えられた。本研究の食事の傾向からは血液中の総コレステロールが高くなることは考えにくく、昨年報告した検診において血清総コレステロール値が低いことと一致した。従って、食事の要因がCHDのリスクを増大させているようには思われない。しかしながら、比較的収入の高い群では、動物性脂質の割合が比較的高く、CHDの発症を予防させる上でも肉類や乳製品の摂取について今後性確な把握が必要であると思われた。
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