研究課題
平成8年9月5日から9月14日まで、鹿児島大学の橋口勉(家畜育種学)、衛藤威臣(蔬菜園芸学)、冨永茂人(果樹園芸学)、佐藤宗治(植物育種学)が中国・雲南省に派遣されて、雲南農業大学の研究者と雲南省の有用動植物の実態と利用について共同調査した。雲南省では水稲、ソルガム、タバコが主要作物であったが、特有の食用作物も多く見られた。また、薬用を兼ねた作物も見られた。例えば、ドクダミの近縁種と思われる魚腥草は、現地では漢方薬として利用されるほか、健康によい野菜として食されている。また、宝珠梨(砂梨:Pyrus pyrijoliaの1品種)と呼ばれるナシがあり、雲南省特産で、皇帝への献上品であったとされる。その他、Araceaeに属する植物で、若い花軸を食する野菜、更に、固有種と思われる多くのキノコ類など希少有用植物が多数見られた。これらに対する学術的な研究、利用法の開発が今後必要になるものと思われた。また、日本への加工調整品の輸出の可能性についても、種々、検討を加えた。一例としてクルミの缶ジュースが既に製品として販売されていたが、日本でも充分に通用するものと評価された。引き続き、平成8年9月27日から10月8日まで、雲南農業大学のりょ天余教授(家畜飼養学)、る昭芬副教授(畜産学)、和立青講師(作物学)を鹿児島に招聘し、鹿児島大学の研究者と鹿児島県の有用動植物について共同調査した。鹿児島では、県の農業試験場・バイテクセンターなどの試験研究機関の研究者とも意見交換・研究討議を重ねた。日本の西南に位置する鹿児島は、雲南省とも気候的に共通する点もあり、雲南へ導入を試みたいとする有用植物・特に柑橘類などの新品種が見出された。以上のように、研究者の派遣・招聘を通じて、鹿児島大学・雲南農業大学双方に、有用動植物の実態と利用に関して、多大な調査結果が得られた。