研究課題
超音波検診は平成6年度に引き続き、risk factorを持つ群と、持たない群について行い、おのおの1000例以上の検査数を重ねている。一方、本年度の重点項目として、超音波検診により発見された肝腫瘤の確定診断の目的で超音波ガイド下穿刺生検の手法導入を、また集検データについて中国で最も適切と考えられる記録法について検討を行った。肝腫瘤の穿刺は、肝癌と他の血管腫、再生結節、などとの鑑別診断を安全に行う上で重要で、X線CTや、MRIでは十分な診断が得られない小肝癌の診断にとって欠かせない手技である。手技は本邦で、広く行われているもので、穿刺専用の探触子を用いて北京医科大学肝病研究所で行ったものである。全体で55名の肝疾患(内訳)を対象におこなわれ、特に肝癌が問題になったものは8腫瘤であり、うち3例で生検により発見された。なお、病理標本については、所見を両大学検討できるようにいずれも2枚以上作製し、検討保存した。肝腫瘤の確定診断の目的でおこなう肝穿刺が可能となったことは、診断のみでなく次の治療戦略に重要な意味をもつ。それはこの手技は肝癌の治療として重要な位置を占めている腫瘍を超音波で見ながらエタノール注入療法を行う第一歩であるからであり、現在中国で主に肝癌の治療法として行われている侵襲的な肝切除以外の新たな治療方となりえる。一方記録法については、日本で多く行われているハードコピーによる記録法は、中国ではコストの面より適切な方法とはいえず、本検討ではビデオテープによる記録を行った。この方法では、一人当たり1から2分間の記録を行った場合でも、一人当たりの記録に要するコストは5円程度となり、他の方法と比較しても最も経済的負担が少なかった。ただし、中国での記録法はPAL方式であり、再生は自治医科大学側の専用装置を用いた。
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