研究課題
平成6年度、7年度は、肝臓癌の危険因子を持つ群と持たない群について、肝疾患の罹患率の比較検討を行ってきた。特に、平成6年については両者の比較についてを、平成7年にはそれに加え穿刺について重点的に検討した。平成8年度では、これらの事項に加えて、肝疾患罹患者を対象に定期的な超音波検査を行うことで、経年的な発生率についての検討を行った。北京医科大学で経年的な経過観察を行ったものは、1688回(492名)であり、うち13名(1.0%)で肝細胞癌が発見され、危険因子をもたないコントロール群より高率であった。これは、B型肝炎の多発する地域で行った検診での発見率(0.86%)よりさらに高く、早期診断、発見のめに、本法は有用であった。なお、これまでの3年間で行った超音波検査の総数は、18064件(男性11215件、女性6849件)で、その内訳は、何らかの肝疾患の危険因子または肝疾患が疑われるもの(高危険地区、医療期間での検査)が11284件、北京の一般住民4526件、肝の経過観察のために行われた検査が2254件であった。肝癌は、肝障害をもとに発生することが多く、わが国では早期発見および適切な治療により生存率の飛躍的な改善が認められている。日本と同様に、癌の多発する中国においても今後このような医療が求められることは明らかであり、今回の研究はその早期発見のため、穿刺を含めた超音波検査応用の基礎的検討として、両国にとって有用と考えられる。
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