研究概要 |
<目的>北里大学においては健常成人を対象にPressure Support に対する呼吸筋の反応を明らかにし,カルガリ-大学においては動物実験モデルを用いて夜間睡眠中の呼吸筋の調節を明らかにすることを目的にとした。 <方法>北里大学においては,健常成人10人を対象に高解像超音波画像診断装置を用いて,直視下に fine wire 電極を4つの腹筋に個別に挿入し,nasal-CPAP および nasal-BiPAP 下に各腹筋の電気的活動を記録し,分析を進めた.カルガリ-大学においては,手術によって電極を埋め込まれた慢性犬を対象に,覚醒時および睡眠時の呼吸筋の電気的活動を記録・分析した. <結果>健常成人を対象とした研究では,nasal-CPAP により呼出筋である腹筋に電気的活動が認められること.その際に,最も深部の筋である腹横筋が低い圧にも反応し,最も敏感であり,次いで深い順に内腹斜筋,外腹斜筋が続き,腹直筋は最も反応しにくいことがわかった.また,カルガリ-大学における慢性犬による実験からは,睡眠の深度,およびREMとnon-REM により横隔膜の助骨部と脚部では,筋の収縮の程度が異なること,さらに傍胸骨助間筋と横隔膜も差動的に働くことがわかった. <来年度の方針>北里大学においては,慢性呼吸不全患者を対象に覚醒時および睡眠時の呼吸筋の調節に関する研究を行う.また,nasal-CPAP およびnasal-BiPAP の生理的影響,特に呼吸筋の調節に対する生理的影響を研究する.さらに,健常成人の前斜角筋の電気生理的検討を同様の条件下で実施する.また、カルガリ-大学では,慢性犬を用いて覚醒時及び睡眠時におけるnasal-CPAPおよびnasal-BiPAPの呼吸調節に対する影響を研究する.
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