研究課題/領域番号 |
06045055
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
白石 典義 立教大学, 社会学部, 助教授 (60171039)
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研究分担者 |
王 処輝 南開大学, 社会学部, 教授
劉 くんくん 南開大学, 社会学部, 教授
笠原 清志 立教大学, 社会学部, 教授 (80185743)
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キーワード | 日中文化摩擦 / 日中文化葛藤 / 中国進出日系企業 / 日本人派遣要員 / 中国人従業員 / 異文化接触 / 日本人管理職 |
研究概要 |
今回行った調査から、日本人管理職と中国人従業員との間に生じるトラブルを解消あるいは軽減するための手掛かりとして、次のような点を指摘することができる。 一つは、職場規律を遵守するための職場規程や仕事を円滑かつスムーズに進行させるための業務規程等、いわゆる、社会、職場、業務に関するルールを、中国式の思考様式や行動様式を考慮に入れて再構築することである。この点については、各社とも、すでに運用されているものがあると考えられるが、これは、中国人従業員の納得がいくようなものにするための挑戦であり、ルールを遵守させるための説得材料でもある。 二つは、この各種規程の運用である。調査でも明らかにされたように、日本人管理職と中国人従業員との間には、「仕事の指示・命令」、「仕事の仕方・進め方」、「職場規律」を巡るトラブルが多い。そして、多くの日本人管理職は、このトラブルの背景に「仕事に対する考え方の違い」や「中国社会の習慣・慣行の違い」があるとしているが、実は、規程の理解が不足していることや、規程の運用の仕方、規程の運用者に問題があるものと考えられる。 運用者たる日本人管理職が中国人従業員に信頼され、規程が的確に運用されているかが問題である。管理者として信頼されるには、先ず、従業員から理解されることであり、そのために、人間関係、コミュニケーションを密にすることが有効な手段になる。 人間関係を良好にする、コミュニケーションを密にする、ということは、トラブルを解消する、あるいは軽減する直接的な方法ではないことを認識しておく必要がある。 最適な方法は、中国人従業員にとっても、納得のいくルールづくりであり、納得のいく運用である、と言える。
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